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朝露
「朝露〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朝露の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《はで》なモスリンの端切《はぎ》れが乱雲の中に現われた虹《にじ》のようにしっとり
朝露にしめったまま穢《きた》ない馬力の上にしまい忘られていた。
(六....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
ったら話になんなっかった。 腰まで裾を端しょってな、素《す》っ膚足《ぱだし》に
朝露のかかるのはえいもんさ、日中焼けるように熱いのも随分つれいがな、其熱い時でな....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ねえ、こう、頼むぜ、小父さん。」 五十四 「己が十二の小僧の時よ。
朝露の林を分けて、塒を奥山へ出たと思いねえ。蛙の面へ打かけるように、仕かけの噴水....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
だけれど、はま公がうまくやってくれたからなお二十分間ほど骨を休めることができた。
朝露しとしとと滴るる桑畑の茂り、次ぎな菜畑、大根畑、新たに青み加わるさやさやしさ....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
くる。予らは毎朝毎夕浜へ出かける。朝の潮干には蛤をとり夕浜には貝を拾う。月待草に
朝露しとど湿った、浜の芝原を無邪気な子どもを相手に遊んでおれば、人生のことも思う....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
けば可い事よ。 三の烏 なぞとな、お二めが、体の可い事を吐す癖に、朝烏の、朝桜、
朝露の、朝風で、朝飯を急ぐ和郎だ。何だ、仇花なりとも、美しく咲かしておけば可い事....
「古狢」より 著者:泉鏡花
いて、倒に真黒な小蓑を掛けたようになって、それでも、優しい人ですから、すんなりと
朝露に濡れていました。それでいて毛筋をつたわって、落ちる雫が下へ溜って、血だった....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
は、古い手に摘まれた新しい花は、はじめは何にも知らなかったんです。清い、美しい、
朝露に、旭に向って咲いたのだと人なみに思っていました。ですが、蝶が来て、一所に遊....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
疑いをいれる余地はなくなるであろう。こう考えたので、彼は急いで花屋へ行って、まだ
朝露のかがやいている花束を一つ買った。 今は彼が毎日ベアトリーチェに逢う定刻で....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
き、やがて横ざまに軽くまた渚に止った。 帆の中より、水際立って、美しく水浅葱に
朝露置いた大輪の花一輪、白砂の清き浜に、台や開くと、裳を捌いて衝と下り立った、洋....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
は、魔除けに、と云う細君の心添で。細君は、白骨も戻すと極り、夜が明けると、ぱっと
朝露に開いた風情に元気になって、洗面の世話をしながら、縁側で、向うの峰を見て顔を....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ほどに深く結ばれていて、その清い彼女の愛が――寝巻のままではありましたが――まだ
朝露の冷たいなかをあの敷石の高いところに彼女を立たせたに相違ないのです。 雲の....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
ぎ、蔭で機密に仕事をして、徳川家を呪いましょう」 「おう、それで拙老も安心じゃ」
朝露夕電、人の命は一刻の後が分らぬ故、今夜のうちに何もかも教えようとなった。 「....
「錦紗」より 著者:犬田卯
道の枯草を引っ掻き廻した。 「家から半里……きっとこの辺に違いない。」 両手は
朝露にぬれ、足も枯草と泥に汚れて、もはや血眼の彼女は、人に見られてもかまわず、野....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
はいり始める。林にはどこにも見るような萓や女郎花、桔梗、萩などの秋草が乱れ咲いて
朝露が粒だって葉末にとまっている。落葉がかなり散り敷いて草の葉末にも懸ったりして....