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朝餉
「朝餉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朝餉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
とうれしさとを感じた。
畳一|畳《じょう》がた日のさしこむ茶の間の六畳で二人は
朝餉《あさげ》の膳《ぜん》に向かった。かつては葉山《はやま》で木部と二人でこうし....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
》らしい商人宿があって、その二階の手摺《てすり》の向こうに、よく朝など出立の前の
朝餉《あさげ》を食べていたりする旅人の姿が街道から見えるのだった。彼はなぜかその....
「富士」より 著者:岡本かの子
らしくなった旅の翁をどこでも泊めようとしなかったのだ。翁は煩わしく雫を払いながら
朝餉《あさがれい》を少し食べた。持ち亙って来た行糧ももはやほとんど無くなっていた....
「黒髪」より 著者:近松秋江
っておいた。そして京都駅に着いたのはまだ八時ごろであったが、どんよりとした暁靄は
朝餉の炊煙と融け合い、停車場前の広場に立って、一年近くも見なかったあたりの山々を....
「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」より 著者:寺田寅彦
箒の音がこれに和する。この三つの音が次第に調子を早める。高角度に写された煙突から
朝餉の煙がもくもくと上がり始めると、あちらこちらの窓が明いて、晴れやかな娘の顔な....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
って金椎の給仕で――この少年は支那料理のほかに、多少西洋料理の心得もあります――
朝餉《あさげ》の膳に向うと、造船小屋の方でしきりに犬の吠える声。造船小屋には常に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
田舎の外《はず》れ、馬子《まご》などの休みそうな一ぜん飯屋の隅で辛《から》くも、
朝餉《あさげ》と昼飯とを一度に済ませて、それから中泉と聞いて歩いて行きましたが、....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
はまだ昨夜のまま寝ていたのでありまする。失礼な起しましょうと口々に騒ぐを制して、
朝餉も別間において認め、お前さん方が何も恐がる程の事はないのだから、大勢側に附い....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
梁木に ゆらめく生の残像 (嬰児と共の 妻のほほえみ 透明な産室の 窓ぎわの
朝餉) そして 硝子にえぐられた双眼が 血膿と泥と 雲煙の裂け間 山上の 暮映を....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
節々空を打ち仰ぎたり。間もなく巷に出でぬ。 朝なお早ければ街はまだ往来少なく、
朝餉の煙重く軒より軒へとたなびき、小川の末は狭霧立ちこめて紗絹のかなたより上り来....
「小さな旅」より 著者:富田木歩
に起されて登校した。胃を病んでいる姉は昨夜の酒が過ぎたので痛むと云う。私は一人で
朝餉をすませて、陽の一杯に漲っている若葉蔭に陣取って新聞を読む。 杉の芽に蝶つ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
広い三和土も一杯です。朝の市が済んで、そこらを掃上げて、静かになってから、人々は
朝餉を取るのでしょう、出て来た人たちを相手のちょっとした食事の出来る店もあります....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
、天いと美わしく横雲のたなびける間に、なお昨夜の名残の電光す。涼しき中にこそと、
朝餉済ますやがて立出ず。路は荒川に沿えど磧までは、あるは二、三町、あるいは四、五....
「鮪を食う話」より 著者:北大路魯山人
ところによると、いわゆる朝帰りに、昔なら土堤八丁とか、浅草田圃などというところで
朝餉に熱燗でねぎまとくると、その美味さ加減はいい知れぬものがあって、一時に元気回....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
、街道をはさむ商店街のいらかは紫の浪とつらなり、丘の住宅地は家族のまどいを知らす
朝餉《あさげ》の煙を上げ、山腹の段々畑はよく茂った藷の上に露をかがやかせている。....