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期せずして
「期せずして〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
期せずしての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
だよ》っている黄昏《たそがれ》の光の中に、蹌踉《そうろう》たる歩みを運んで行く。
期せずして、同じく憂鬱な心もちを、払いのけようとしても払いのけられなかったからで....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
。それじゃ無理に留めないけれども……」 このとき両箇《ふたり》の眼《まなこ》は
期せずして合えり。 「そうしてお母《かあ》さんには?」 「道で寄って暇乞《いとま....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
新《あらた》に建設するということはまったく不可能だということである。かくて我々は
期せずして第二の経験――宗教的欲求の時代に移った。それはその当時においては前者の....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
置から解放される。――記録だけは大切に保管して置くのだよ」 博士のこの言葉に、
期せずして一同の口から大きな溜息がとび出した。が、誰もまとまった言葉をいう者がな....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
って置けば悄げる、はぐらかしても乗出す。勢い可い加減にでも返事をすれば、すなわち
期せずして遊蕩の顧問になる。尠からず悩まされて、自分にお蔦と云う弱点があるだけ、....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
たお袋にその思ったことや、将来の吉弥に対する注文やを述べたり、聴き糺したりした。
期せずして真面目な、堅苦しい会合となった。お袋は不安の状態を愛想笑いに隠していた....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
れは一体どうしたことだろう。 僕は決心して、ガラリと戸を明けた。座敷の中からは
期せずして同時に「呀ッ!」という叫び声が聞えた。 「まあ浅間さん、遅いのネ。どこ....
「銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
れたまま電気のともっていた煙草屋の二階のほうから聞えて来た。 「青蘭」の女達は、
期せずして再び顔を見合した。が、直ぐに同じ方角からなにか人間の倒れるような音がド....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
放された扉口のところに、頭をこちらへ向けて俯向きに打倒れている姿をみつけた。私は
期せずして息を呑みこんだが、開け放された扉口を通して、向うの居間がなんとなく取り....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
けたのは、家政婦の部屋の中です」 「なに家政婦の部屋の中に、このピストルが……」
期せずして大寺警部と長谷戸検事の視線とがぴったりと抱き合った。 そのうしろでは....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
という言葉を聞くと、すっかり元どおりに函の中に収ってしまった。 ハーッ。一同は
期せずして大きな溜息を揃えてついた。 「……帆村君、ありがとう。君の実験は大成功....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ると何処へ行かれたか、二人の神さん達の姿はその辺に見当らないのでした。 私達は
期せずして互に眼と眼を見合わせました。 思い切って私はここに懺悔しますが、四辺....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
の二人は、西隣の秋森家の表門の方角に当って低い鋭い得も云われぬ叫び声を耳にした。
期せずして二人はその方角へ視線を投げた。すると二人の立っているポストの地点から約....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
いた。 「灯をね、」と顔をさし寄せて、令夫人は低声でいう。 夕暮の徒然、老母も
期せずしてこの処に会したので、あえて音楽に関して弟子に対する他は、面会日が水曜と....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
友というだけで、中ごろは交際が絶え、相談したのでも申合わしたのでもなかったが、相
期せずして幼友達同士のこの二人が言文一致体を創めたというは頗る不思議な因縁であっ....