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「朦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
りゅうかんのん》の軸が、煤《すす》けた錦襴《きんらん》の表装《ひょうそう》の中に朧《もうろう》と墨色《ぼくしょく》を弁じていた。私は折々書見の眼をあげて、この....
不思議な島」より 著者:芥川竜之介
もや》のおりているせいか、甚だ曖昧を極めている。僕は長椅子に寝ころんだまま、その朧《もうろう》と煙《けぶ》った奥に何があるのか見たいと思った。すると念力《ねん....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
に予の枕もとへ歩みよられた。ただ、現《うつつ》と異ったは、日頃つややかな黒髪が、朧と煙《けぶ》った中に、黄金《こがね》の釵子《さいし》が怪しげな光を放って居っ....
十円札」より 著者:芥川竜之介
蓋《ふた》は正確に顔を映すはずはない。小さい円の中の彼の顔は全体に頗《すこぶ》る朧《もうろう》とした上、鼻ばかり非常にひろがっている。幸いにそれでも彼の心は次....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
知れず流れ出した。オルガンティノは喘《あえ》ぎ喘ぎ、この光がさし始めると同時に、朧《もうろう》とあたりへ浮んで来た、人影があるのを発見した。 人影は見る間《....
河童」より 著者:芥川竜之介
話によれば、このステュディオでは写真をとると、トックの姿もいつの間《ま》にか必ず朧《もうろう》と客の後ろに映っているとかいうことです。もっともチャックは物質主....
路上」より 著者:芥川竜之介
った》にさしては来なかった。さしてもまた大抵は、風に戦《そよ》いでいる椎の葉が、朧《もうろう》たる影を書物の上へ落すか落さない内に消えてしまった。その書物の上....
」より 著者:芥川竜之介
色《こんじき》の爪を閃《ひらめ》かせて一文字に空へ昇って行く十丈あまりの黒竜が、朧《もうろう》として映りました。が、それは瞬《またた》く暇で、後《あと》はただ....
道祖問答」より 著者:芥川竜之介
》の向うに白の水干《すいかん》の袖を掻き合せて、仔細《しさい》らしく坐っている。朧《もうろう》とはしながらも、烏帽子《えぼし》の紐を長くむすび下げた物ごしは満....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。そのかすかな火の光は、十六人の女に虐《さいな》まれている、小山のような彼の姿を朧《もうろう》といつまでも照していた。…… 翌日彼は眼をさますと、洞穴《ほら....
少年」より 著者:芥川竜之介
病院へはいった後《のち》も容易に彼を離れなかった。彼は白い寝台《しんだい》の上に朧《もうろう》とした目を開いたまま、蒙古《もうこ》の春を運んで来る黄沙《こうさ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
にいましたから、すぐに窓から外を覗いて見ました。と、外は薄雲のかかった月の光が、朧《もうろう》と漂っているだけで、停留場の柱の下は勿論、両側の町家がことごとく....
星座」より 著者:有島武郎
らチャブ台を引いた。壁ぎわに行ってばらばらにそれに倚《よ》りかかっている五人が、朧《もうろう》と渡瀬の眼に映った。ただ何んということもなく涙が湧いてきた。彼は....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ほどに恐怖の沈滞しているような冷やかな眼をしたラザルスの姿が、物凄い光りのなかに朧として浮き上がって来た。かれらは化石したようになって、たがいに遠く離れてたた....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
りした姿で、切株に腰かけて居るのです。 が、再び一|歩前へ進むと、又もやすぐに朧と消えかかる……。 二|度、三|度、五|度、幾度くりかえしても同じことなの....