木の下闇[語句情報] » 木の下闇

「木の下闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

木の下闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉原新話」より 著者:泉鏡花
たがね、考えて見ると、面白くも何とも無いのさ。 足許だけぼんやり見える、黄昏の木の下闇を下り懸けた、暗さは暗いが、気は晴々する。 以前と違って、それから行く....
旅愁」より 著者:横光利一
ら現れて来ると一同はカフェーを出て、自分たちの乗り捨てたボートの方へ引き返した。木の下闇で道を手探りしなければ分らぬほど暗かった。足もとはなだらかな芝生とは云え....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
一杯に、日覆いになるほどに、のさばっている七葉樹やで、谷はだんだん暗くなる、その木の下闇を白く抜いて、水は蒼暗い葉のトンネルを潜って、石を噛んでは音を立てる、小....
丹下左膳」より 著者:林不忘
閑寂《しずか》。 妻恋坂の道場の庭――その庭を行きつくした築山のかげに、小暗い木の下闇をえらんで、いま立ち話にふけっているのは、源三郎排斥の若い御後室お蓮様と....
置土産」より 著者:国木田独歩
。 老松樹ちこめて神々しき社なれば月影のもるるは拝殿|階段の辺りのみ、物すごき木の下闇を潜りて吉次は階段の下に進み、うやうやしく額づきて祈る意に誠をこめ、まず....
郊外」より 著者:国木田独歩
れのうわさをしようがお前さんの関った事ジャアないよ、ねエ先生!』 時田は驚いて木の下闇を見ると、一人の男が立っていたが、ツイと長屋の裏の方へ消えてしまった。 ....
魔都」より 著者:久生十蘭
ところに大きな笠松があって、そこばかりはとりわけ黒くおどんだようになっているその木の下闇、そよ吹く風の枝の間からスーッとぬけ出した一つの影。漂う如くにフワフワと....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
いつの間にやら消え失せてしまうと、あれほど人の行き来に賑わってた浅草も、たちまち木の下闇の底気味悪いばかりに陰を濃くして、襟を吹く秋風のみが、いたずらに冷々と肌....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
あるじ顔 燕《つばくら》や水田の風に吹かれ顔 川狩や楼上の人の見知り顔 売卜先生木の下闇の訪はれ顔 行く春やおもたき琵琶《びは》の抱き心 夕顔の花噛む猫やよそ心....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
愈深くなって、空から反射する弱い光線は、青木黒木の蔭に吸い込まれて、吐き出された木の下闇のみが宙にさ迷うているに過ぎない。高く昇った筈の太陽も、更に高い鶏冠山の....