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「木の間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

木の間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
は、梢《こずえ》から垂れた榕樹《あこう》の枝に、肉の厚い葉が光っている、――その木の間に点々と、笹葺《ささぶ》きの屋根を並べたのが、この島の土人の家なのです。が....
或る女」より 著者:有島武郎
ほうを見やって、三人の挙動などには目もくれないふうだった。垣根添《かきねぞ》いの木の間からは、種々な色の薔薇《ばら》の花が夕闇《ゆうやみ》の中にもちらほらと見え....
地球盗難」より 著者:海野十三
が草叢の中から飛び出してきた。それは例の巨大甲虫に違いなかった。その怪虫は、櫟の木の間を縫って低く飛びながら、だんだんとお美代の方に近づいてくるのだった。 「あ....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
いい音ですね」と、やっぱり聞きほれていた。技巧を交えぬ音だ。雪と林のささやきだ。木の間越しに高倉の後に槍ガ岳のような山が見え出した。その山に目を注ぎながら、急な....
春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
思った。再びスキーをつけて、槍ガ岳を右に見て一ノ俣に降る。大きなボーゲンを画いて木の間を縫いながら十分ばかりで降りた。雪は一丈余もあろう。河はほとんど埋っている....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
雪を捲いて吹きつけるからセーターの中まで針を通すような寒さが襲ってくる。小さな灌木の間を縫って行くと右手の遙か下の谷に新五色の温泉宿が平面的に見えて、その前に建....
恐竜島」より 著者:海野十三
。ポチはこの中へはいりこんだのかもしれない」 そう思った玉太郎は、たおれた木と木の間へ顔をさしこんで、落ちていく水にまけないような大きな声で、愛犬の名をいくた....
火星探険」より 著者:海野十三
をもっとはっきり見定めようとして、テレビ見張器の拡大をあげていったわけだが、その木の間にうごめくものはだんだん大きくはっきりと映写幕にうかびあがってきた。 果....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
身の死出の山、死出の田長の田がりよし、野辺より先を見渡せば、過ぎし冬至の冬枯の、木の間木の間にちらちらと、ぬき身の槍の恐しや、―― 公子 (姿見を覗きつつ、且つ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
かかったかと思うと、今度は降り坂になり、右に左にくねくねとつづらに折れて、時に樹木の間から蒼い海原がのぞきます。やがて行きついた所はそそり立つ大きな巌と巌との間....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
ます神様――お助けください」 とおかあさんはいのりました。 と黒鳥の歌が松の木の間で聞こえるとともに馬どもはてんでんばらばらにどこかに行ってしまって、四囲は....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ら下って、銀箔をのばしたような湖にとどいている。その岸には高い樹木が立ちならび、木の間がくれにハドソン河一帯の青い丘が望まれるのだ。この教会の草の生えている墓地....
女の話・花の話」より 著者:上村松園
○ この社地の隣りが花の寺です。少し上り気味の坂にかかると、両側の松や雑木の間から、枝をひろげて、ハミ出ている桜が、登ってゆく人の頭の上にのしかかって咲....
山の湯の旅」より 著者:上村松園
してくる景色などは、言葉では言い切れない大きな詩味を投げかけてきます。ことにその木の間からは、六月だというのに、遠い山の雪の白さなどがちらと窺くやら、遅桜がほろ....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
る蟻の塔が此の無人の境に建設されてゆく。 峰頂を踏んで、躑躅や山吹、茨などの灌木の間を縫うて行くことは、疲労を忘れしめるほどの愉快を感ずるものである。幾春秋の....