木偶[語句情報] » 木偶

「木偶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

木偶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
に頼んでやった。が、基安は取り合いもせぬ。あの男は勿論役目のほかは、何一つ知らぬ木偶《でく》の坊じゃ。おれもあの男は咎めずとも好《い》い。ただ罪の深いのは少将じ....
或る女」より 著者:有島武郎
の色合いが見ていられないほど不調和で不愉快であったり、周囲の人が腑抜《ふぬ》けな木偶《でく》のように甲斐《かい》なく思われたり、静かに空を渡って行く雲の脚《あし....
卑怯者」より 著者:有島武郎
けて、あっけにとられている大人子供を尻眼にかけながら、 「馬鹿野郎! 手前たちは木偶《でく》の棒だ。卑怯者《ひきょうもの》だ。この子供がたとえばふだんいたずらを....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
したのも、みんな八橋のためである。この三年このかたの自分は、すべて八橋に操られた木偶《でく》のように動いていたのであった。人形遣いの手を離れて木偶の坊が一人で動....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
…老若男女の区別は無い。釣針にかかった勝負じゃ、緑の髪も、白髪も、顔はいろいろの木偶の坊。孫等に人形の土産じゃがの、や、殿。殿たち人間の人形は、私等が国の玩弄物....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
おとよさんの秘密に少しも気づかない省作は、今日は自分で自分がわからず、ただ自分は木偶の坊のように、おとよさんに引き回されて日が暮れたような心持ちがした。 ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、その妻は節を守ること五十余年、老死した後にここに合葬したのであることが判った。木偶の演戯 わたしの先祖の光禄公は康煕年間、崔荘で質庫を開いていた。沈伯玉とい....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
不良少女ばかりでなく、大人の方たちにもこれをお勧め申したいと思っています。なんの木偶の坊――とひと口に云ってしまえばそれ迄ですが、生きた人間にも木偶の坊に劣った....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
だの者が水中に立っていた。顔は眼も鼻も無いのっぺらぽうで、頸も動かない。さながら木偶の坊のようなものである。張はその怪物にむかって石を投げ付けると、彼はふたたび....
黒百合」より 著者:泉鏡花
、一斉に皆うようよ。有触れた銀流し、汚い親仁なら何事もあるまい、いずれ器量が操る木偶であろう。 「姉や。」 この時、人の背後から呼んだ、しかしこれは、前に黄な....
故郷」より 著者:井上紅梅
や兵隊が乱暴するし、官吏や地主がのしかかって来るし、凡ての苦しみは彼をして一つの木偶とならしめた。「要らないものは何でも彼にやるがいいよ。勝手に撰り取らせてもい....
不周山」より 著者:井上紅梅
、地に落ちたがたちまち、彼女が以前作ったような小さいものになった。だがその大半は木偶の棒で※々のような顔に鼠のような目がついており、厭なものであった。それでも彼....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
それだから俺は始めから死ぬんだ死ぬんだといって聞かせているのに、貴様たちはまるで木偶の坊見たいだからなあ。……ところで俺の弟は、兄貴の志をついで天才画家になると....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
糸につながれたようで、あとへも先きへも動かれなくなった。彼はいたずらに牙を噛んで木偶のように突っ立っていると、女はほほと軽く笑った。 「最前から入り代り立ち代っ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ころ父なる人自ら手本をものして取らし給ひつ。されど習字よりは画を好みて、夜は常に木偶の形など書き散らして楽みしが、ただみづから画くのみならで、絵巻物(註、錦絵の....