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木履
「木履〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木履の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
尋ねようとした。すると二三歩遅れていた妻は笑い声に僕等へ話しかけた。
「あたしの
木履《ぽっくり》の鈴が鳴るでしょう。――」
しかし妻は振り返らずとも、草履《ぞ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
」 規矩男は本当に恥じているように見えた。 「それよりも、今日はあなたのその靴
木履で、武蔵野の若草を踏んで歩く音をゆっくり聴かして頂くつもりです」 規矩男は....
「河明り」より 著者:岡本かの子
足した。私はその小女から、帆柱を横たえた和船型の大きな船を五大力ということだの、
木履のように膨れて黒いのは達磨ぶねということだの、伝馬船と荷足り船の区別をも教え....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
が池畔へ続いている参詣道に気をつけていた。松影を透して、女中の箱屋を連れた雛妓は
木履を踏石に宛て鳴らして帰って行くのが見えた。わたくしのいる窓に声の届きそうな恰....
「縮図」より 著者:徳田秋声
違えるような意気な芸者になったりするかと思うと、十八にもなって、振袖に鈴のついた
木履をちゃらちゃらいわせ、陰でなあにと恍けて見せる薹の立った半玉もあるのだった。....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
墓地でぬぎ棄てるので、帰途の履物がいる。大きな目籠に駒下駄も空気草履も泥だらけの
木履も一つにぶち込んで、久さんが背負って居る。
「南無阿弥陀ァ仏」
辰爺さんが....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
したが、その時には俳優が舞台で用いる付け髯を顔いっぱいに付けて、二尺あまりの高い
木履を穿いていました。そうして、品物をぬすみ出すと、それを近所の塔の上に隠して置....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
板形の大きやかな櫛をさして飛白帷子に襦袢、帯は一つ結びにして扇は後ろに挟み、塗|
木履を穿つ。但しこの書なるは足袋もつけておるが、後には素足を伊達の時好として客も....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ったのです。それは、覆面したいでたちに、両刀を携えた姿には相違なかったが、月明に
木履《ぼくり》の音を響かせて濶歩して行くというわけでもなく、着流しの白衣《びゃく....
「半日ある記」より 著者:寺田寅彦
に小僧幾度か箒引きずって墓場を出つ入りつ。木魚の音のポン/\たるを後に聞き朴歯の
木履カラつかせて出で立つ。近辺の寺々いずこも参詣人多く花屋の店頭黄なる赤き菊|蝦....
「人生三つの愉しみ」より 著者:坂口安吾
を焚いて石を熱し、火が灰となった時を見て火消し装束の如きもので身をかためた若者が
木履をはいて駈けこみ、急いで灰を掃きだして、海水でぬれたムシロをしく。そのムシロ....
「屋根裏の犯人」より 著者:坂口安吾
物を一たきして、熱いめに致しましょう」 「これはオモテナシかたじけない」 「この
木履は私が十八の年、当家へお嫁入りのとき長持に入れて持って参ったもので、歯がちび....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
せん、祖母の小さい時の、記憶の一つだと云う事ですが、お正月か何かの宮参りに履いた
木履は、朱塗の金蒔絵模様に金の鈴の付いたものでしたが、おまけにその
木履の胴が刳貫....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
」と云う句が有り「吉原の奢始めは笠に下駄」という川柳が有りますが、仙台侯は伽羅の
木履を穿いて吉原へおはこびになり、水戸さまは鼈甲の笠を冠ってお通いなされたと云い....
「それから」より 著者:夏目漱石
ら》めいて見えた。絞首台は其所《そこ》にある。刑人《けいじん》は暗い所に立った。
木履《くつ》を片足失くなした、寒いと一人が云うと、何を? と一人が聞き直した。木....