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木枯らし
「木枯らし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木枯らしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は急に寒くなった。殊に権田原《ごんだわら》の広い野原を近所に控えている此処らは、
木枯らしと云いそうな西北の風が身にしみた。 「寒いのは時候で仕方もねえが、この頃....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
もないので、千枝太郎もあきらめてそこを出た。今夜は薄い月が行く手を照らして、もう
木枯らしとでもいいそうな寒い風が時どきに木の葉を吹きまいて通った。千枝太郎はその....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
れである。山里は冬ぞ寂しさまさりける――まさかにそれほどでもないが、庭の枯れ芒が
木枯らしを恐れるようになると、再びかの荒涼索莫がくり返されて、宵々ごとに一種の霜....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
谷が緋の衣に包まれると、山の頂きもまた日に日に白さを増してくる。そして十一月には
木枯らしが吹き、一荒れごとに淋しい落葉の音もまれに、梢越しにははや雪が見え出して....
「カメラをさげて」より 著者:寺田寅彦
さは出しようがない。そのいちょうも次第に落葉して、箒をたてたようなこずえにNWの
木枯らしがイオリアンハープをかなでるのも遠くないであろう。そうなれば自身の寒がり....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
つでも眼前に呼び出すことができる。 夜ふけて人通りのまばらになった表の通りには
木枯らしが吹いていた。黒光りのする店先の上がり框に腰を掛けた五十歳の父は、猟虎の....
「葛の葉狐」より 著者:楠山正雄
た時分には、もうとうに秋は過ぎて、冬の半ばになりました。森の奥の住まいには、毎日
木枯らしが吹いて、木の葉も落ちつくすと、やがて深い雪が森をも谷をもうずめつくすよ....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
口をつぐんで祖母にも母にも一言も語らなかった。 九 晴れた空に星が冴えて、
木枯らしが水の面に、はらはらと落ち葉を降らせてくる夜である。赤谷川の相俣の淵は、....
「榛名湖の公魚釣り」より 著者:佐藤垢石
何にしてもおいしい。チリ鍋にしようものなら思わず晩酌を過ごす。 十二月の中旬、
木枯らしは梢の効用を吹き飛ばした頃は、まだ湖面に氷が張っていないから小舟を水に浮....
「星の世界から」より 著者:小川未明
した。 「君、さびしいだろうと思って僕は遊びにきたよ。」 と、良吉はいいました。
木枯らしは、そのさびしいほかにはだれも人影のいない墓地に吹きすさんで、枯れた葉が....
「酔っぱらい星」より 著者:小川未明
手足の寒いのも忘れて、いつしか快い眠りに入るのがつねでありました。 ある冬の、
木枯らしの吹きすさむ晩のことでありました。 「佐吉や、お酒を買いにいってこい。」....
「ペスをさがしに」より 著者:小川未明
たよ。あっちの、赤い空の中へ、はいっていってしまったよ。」 政ちゃんは、寒い、
木枯らしの吹きそうな、晩方の、なんとなく、物悲しい、西空の、夕焼けの色を、目に描....
「お化けとまちがえた話」より 著者:小川未明
ります。 秋も老けて、末になると、いつしかかきの木は坊主になってしまって、寒い
木枯らしが、昼も夜も吹きさらしました。そして、日は短くなって、昼になったかと思う....
「いいおじいさんの話」より 著者:小川未明
俺がよく亭主の心持ちを聞いてみます……。」と、おじいさんは申しました。 天使は
木枯らしの吹く中を、いずこへとなく歩いて去りました。その後を見送って、おじいさん....
「海からきた使い」より 著者:小川未明
病気は、だんだんいいほうに向かいました。 いつのまにか、冬がきてしまいました。
木枯らしの吹く夜のことです。地の上には、二、三|日前に降った大雪がまだ消えずに残....