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木槌
「木槌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木槌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
かし、あのウェールズ猶太のものとは異なっていた。次に、降矢木算哲……熊城の持った
木槌が軽く打ち下されて、胴体にジグザグの罅が入った。そうして、それが二つに開かれ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の間に実用されて来たように、おばあさんはその黄色な染料を山の小梨に取ることから、
木槌で皮を砕き、日に乾し、煎じて糸を染めるまで、そういうことをよく知っていた。縫....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
あお》ざめていた。仕事の神聖さに圧されて硬《こわ》ばるような緊張をおぼえた。彼は
木槌《きづち》をふりあげて棟木をうちおさめた。痺《しび》れをきらしていた神主が厳....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
頭を掻いた。 「……行かないの?」 「ああ。……養育料払う金もねえもん」 「……
木槌野郎!」 ツと信吉の前を抜けアクリーナは、片手で灌木の枝を押しわけ明るい道....
「花物語」より 著者:寺田寅彦
ある一癖ありそうな男である。手ぬぐい地の肌着から黒い胸毛を現わしてたくましい腕に
木槌をふるうている。槌の音が向こうの丘に反響して静かな村里に響き渡る。稲田には強....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
りの人で、肺病かもしれなかった。だんまりで袋物の細工をして、時折トントンと小さい
木槌《きづち》の音をたてるばかりだった。母親がおやそさんやテンコツさんの姉さんで....
「震災日記より」より 著者:寺田寅彦
問題の話を聞いているうちに急激な地震を感じた。椅子に腰かけている両足の蹠を下から
木槌で急速に乱打するように感じた。多分その前に来たはずの弱い初期微動を気が付かず....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
律が追跡するまたは追跡したすべてのものは、その穴の中に身を隠していた。十四世紀の
木槌暴徒《きづちぼうと》、十五世紀の外套盗賊《がいとうとうぞく》、十六世紀のユー....
「落雷のあと」より 著者:豊島与志雄
めて、水町はじっと立川を眺めました。その視線が、以前は金槌のようだったのに今では
木槌のようだと、立川はへんなことを感じました。 会社の規律というのは、立川も鵜....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
を、階段口に吊したのである。あまり大きな音を立てると、近所に憚られるので、小さな
木槌を添えておいた。カーン、カーン、と二つばかり叩くと、階下から誰か昇ってゆくの....
「博物誌」より 著者:岸田国士
はもう一人の医者と変りはないが、しかしちっと思い切りが悪いという噂だ。 最初、
木槌で叩くと、刃針が血管の上を滑ってしまう。そこでもう一度もっとしっかり手元を決....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
――寺院などでよく見るような――を鳴らすことになっていたが、次郎がその前に立って
木槌をふるおうとしていると、荒田老の例の付き添いの男――鈴田という姓だった――が....
「金狼」より 著者:久生十蘭
。ひどく改まっているようだが……」 那須は坐り直すと、ベッタリと髪を貼りつけた
木槌《さいづち》頭を聳やかしながら、単刀直入に、いった。 「久我さん、だしぬけで....
「早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
方がねえ。」 「だからお前は妙痴奇林《みょうちきりん》の唐変木《とうへんぼく》の
木槌頭《さいづちあたま》のおたんちんだってんだ。」 「白い着物からぽたぽた水滴《....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
ごみ》捨場のこの小丘も、どうやら見ようによってはそうも見えるというので、一般には
木槌山《さいづちやま》として通っていた。 ここへ差しかかった土佐犬甚右衛門、背....