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木精
「木精〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木精の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
た。小暗い杉の下かげには落葉をたく煙がほの白く上って、しっとりと湿った森の大気は
木精のささやきも聞えそうな言いがたいしずけさを漂せた。そのもの静かな森の路をもの....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
「オーイ、剛力ィ――。オーイ、剛力ィ――」と叫んで見たが、応《こた》うるものは
木精《こだま》ばかり、馬糞《うまくそ》剛力どこをマゴ付いている事やら。 その内....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ぞうさ》にまた五六歩。
岩の頭へ半身を乗出して、
(茫然《ぼんやり》してると、
木精《こだま》が攫《さら》うぜ、昼間だって容赦《ようしゃ》はねえよ。)と嘲《あざ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
壁を貫いて、纐纈城まで届きそうな大きい高い声でもあった。しかし返辞は来なかった。
木精が返ったばかりであった。 「兄上、あなたは卑怯者です。いつも私の留守を目掛け....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
かくも乾児《こぶん》を猟り集め、森中手を分けて探してみよう! ……しかし名に負う
木精《こだま》の森だ、入り込んだが最後出られない魔所! 目付《めつ》かってくれれ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
なって、通魔でもしそうな、静寂の鐘の唄の塩梅。どことなくドン――と響いて天狗倒の
木精と一所に、天幕の中じゃあ、局の掛時計がコトリコトリと鳴りましたよ。 お地蔵....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
えながら、姉さん被のまま真仰向けに榎を仰いだ。晴れた空も梢のあたりは尋常ならず、
木精の気勢暗々として中空を籠めて、星の色も物凄い。 「おや、おや、おかしいねえ、....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の蛭が蠢いていた。 「堰近くにあったのだが、どうだ良い匂いがするだろう。タバヨス
木精蓮と云う熱帯種でね。此の花は夜開いて昼|萎むのだよ。そして、閉じられた花弁の....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
「打て!」とホーキン氏が令を下した。と同時に火蓋が切られ白煙りがパッと立ち上がり
木精が四方から返って来た。 三人の土人が地に仆れた。あわてふためいた余の土人は....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
失をおかしてしまったのです。 と云うのは、寒さに耐えられず嚥んだ酒精というのが
木精まじりだったのですから、せっかく引き揚げられたにもかかわらずあの暗黒を最後に....
「戯作者」より 著者:国枝史郎
馬も立つと見えて、竹に雀はの馬子唄に合わせ、チャリンチャリンと鈴の音が松の並木に
木精を起こし、いよいよ旅情をそそるのであった。 川崎、神奈川、程ヶ谷と過ぎ、戸....
「鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
である。 が、要するにそれは、天井の構造から来ていることで、幽かな音に対しても
木精を返すに過ぎないのであって、そうしてこの鸚鵡蔵も、それと同一なのであったが、....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
に向けて撃っている。その陰森たる大砲の音は人跡未踏の神秘境のあらゆる物に反響して
木精となって返って来る。 こうして私達の革船が岸から十間ほどに近付いた時、にわ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
も陣十郎の姿も、その野面のどこにも見えない。 「お兄イ様ア――ッ」と呼ばわった。
木精さえ返って来なかった。 クラクラと眼眩み倒れようとした。 そうでなくてさ....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
たが、やはり中らなかった。 それから二人で交る代る、熱心に打ち合った。銃の音は
木精のように続いて鳴り渡った。 その中女学生の方が先へ逆せて来た。そして弾丸が....