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木綿糸
「木綿糸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木綿糸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
とんでもない事を工夫するかも知れません。世の中は広いものです、広い世の中に一本の
木綿糸《もめんいと》をわたして、傍目《わきめ》も触らず、その上を御叮嚀《ごていね....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
はかま》の綻《ほころび》を彼女に縫わせた事まで覚えていた。その時彼女の使ったのは
木綿糸《もめんいと》でなくて絹糸であった事も知っていた。 「あたしあなたの描《か....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
めが科せられるはずだとおぼえておる。十三歳から二十歳までの女一人に、一か月につき
木綿糸《もめんいと》一|反分《たんぶん》を上納させるんですな――」 いつまで続....
「街」より 著者:宮本百合子
の金巾《カナキン》のカーテンが懸っていた。一畳ばかりの勝手を区切る戸の硝子は赤い
木綿糸でロシア式刺繍をした覆いがかかっているし、二階から上って来る、ジェルテルス....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
々は町の人家を徴発して下宿した。これも今日の俳句生活と一つの関係だが、私の下宿は
木綿糸の糸車を造る老人夫婦の小さな家であって、この老人は発句を作って何とかの俳号....
「浅草紙」より 著者:寺田寅彦
ではないかと思ったりした。 紙片の外にまださまざまの物の破片がくっついていた。
木綿糸の結び玉や、毛髪や動物の毛らしいものや、ボール紙のかけらや、鉛筆の削り屑、....
「土神ときつね」より 著者:宮沢賢治
ぜなら土神の方は神という名こそついてはいましたがごく乱暴で髪《かみ》もぼろぼろの
木綿糸の束《たば》のよう眼《め》も赤くきものだってまるでわかめに似、いつもはだし....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
八州屋の、左手小路寄りの大柱にはちゃんと久松留守と書いた鳥子紙《とりのこがみ》が
木綿糸で釘から下がっている。剥ぎ忘れたのなら貼りついていべきもの、それが掛外し自....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
いたものの載っている古雑誌を引張りだして、私の分を切抜いて、妻が残して行った針と
木綿糸とで、一つ一つ綴り始めた。皆な集めても百|頁にも足りないのだ。これが私の、....
「おりき」より 著者:三好十郎
は豪勢だ。俺あ、へえ、捜したりしている暇あ無えし、仕方無えで、組内かっさらって、
木綿糸が、たったこいだけだ。(笑いながら、懐中から小さく巻いた糸のかたまりを出す....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
ったのとバター小匙一杯位と皆《み》んなよく混ぜて今の魚の腹へ詰めて、切口をザット
木綿糸で縫って上へバターを塗ってテンピで三十分焼くのです。全体このシタフェには甘....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
襟巾が広いことで、色々の材料で色々の紋様を出します。蒲、稈心、科、葡萄蔓、麻糸、
木綿糸、馬の毛など様々なものが使われます。新庄の市日などに在からこれを着て出てく....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
胴中を細引で縛った長持を二人で担ぎ、文身といっても能い文りではございません、紺の
木綿糸を噛んで吐き附けた様な筋彫で、後からギシ/″\やって参りまするから、細路ゆ....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
蒸した栗をバターと塩とお砂糖とで和《あ》えてその中へよく詰め込んで鶏の皮の切口を
木綿糸で縫ってテンパン皿へ入れる。その側へ人参《にんじん》や玉葱《たまねぎ》の小....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
とで、田舎ではみなさんのおかあさまぐらいの人までが、小さいころにはまだお正月に、
木綿糸を巻いてこしらえた手毬を突いていたのである。白い
木綿糸を、まんまるに巻きあ....