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木苺
「木苺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木苺の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
らなかったこと、にわかに気分のよいという朝が来て、なんでも食って見ると言い出し、
木苺の実の黄色なのはもう口へははいるまいかなぞと尋ね、孫たちをそばへ呼び寄せて放....
「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」より 著者:宮本百合子
父の家とならんでいる。 ある日、祖母さんのアクリーナが娘のワルワーラと庭へ出て
木苺をあつめていると、やすやすと隣から塀をのり越えてたくましい立派なマクシムが、....
「遠野へ」より 著者:水野葉舟
もせず、煙草を取り出して火をつけた。そして路の傍《わ》きを見ると路に沿って山吹や
木苺が叢生していた。月見草の種がはじけたまま枯れた莖もその中に絶えることもなく続....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
く山の間を散歩しました。そして私は美しい梅もどきの枝を見つけて折ったり、紅葉した
木苺の葉を見つけたり、いね子は「いいねエ、何ていいんだろ」、あなたこなた眺めつつ....
「可愛い女」より 著者:神西清
らい欠損だとこぼしてばかりいた。彼は夜中になるときまって咳が出たので、彼女は彼に
木苺の汁や菩提樹の花の絞り汁を飲ませたり、オーデコロンをすり込んでやったり、自分....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
かく、出かけてみるこったわ」 大急ぎで米をとぐと、裏山へ駆けあがって行ったが、
木苺《きいちご》がすこしあるばかりで、喰べられそうなものはなにひとつ見当らなかっ....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
る。砂糖もなく、菓子もなく、果物もない、この土地の子供は気の毒なものだ。夏の野に
木苺をもとめ、秋の山に木通や葡萄の蔓をたずねて、淡い淡い甘味に満足しているのであ....
「はつ恋」より 著者:神西清
いていた。――あたりは青々と、光に満ちていた。風は木々の葉なみをそよがせ、時おり
木苺の長い枝を、ジナイーダの頭上で揺すっていた。どこかで鳩が、ふくみ声で鳴き、蜜....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
ので驚いたことがある。此処で河をなくしては困るから二人で探しにかかる。刺の生えた
木苺が邪魔で仕方がない、地面も凹凸があって歩き悪い、水の流れた跡は幾筋もあるがど....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
った。田部君は沢について上って行った。此の方が楽で、松本君と私とは、雑木に交って
木苺、バラ、棒ダラなど、刺のある灌木の叢生している中を、苦しみながら押し分け登っ....