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木菟
「木菟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木菟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で、春の桜時はここもさすがに賑わって、団子茶屋に団扇の音が忙がしかった。すすきの
木菟は旬はずれで、この頃はその尖ったくちばしを見せなかったが、名物の風車は春風が....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
作品が、立派に雑誌には載っている。例えば『中央公論』(三六年七月)にのった「青葉
木菟」(万太郎)とか「老ぼれ」(白鳥)とか「山女魚」(滝井)とか、の類を思い起こ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
諸臣議すらく、仏鉢は直《まこと》に貴く王これを崇《あが》むるはもっともだが、かの
木菟入《ずくにゅう》こそ怪《け》しからぬ、あんなありふれた坊主を一億金代りに受け....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
した、……微酔もそのままで、ふらふらと花をみまわしつつ近づいた。 巣から落ちた
木菟の雛ッ子のような小僧に対して、一種の大なる化鳥である。大女の、わけて櫛巻に無....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
の中に、怪しや、冴えたる女の声して、 「お爺さん――お取次。……ぽう、ぽっぽ。」
木菟の女性である。 「皆、東京の下町です。円髷は踊の師匠。若いのは、おなじ、師匠....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
が長い嘴で留ったようで、何となく、水の音も、ひたひたとするようだったが、この時、
木菟のようになって、とっぷりと暮れて真暗だった。 「どうした、どうした。……おお....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
尚と摺違うた時じゃが、の。」 与五郎は呼吸を吐いて、 「和尚が長い頭巾の頭を、
木菟むくりと擡ると、片足を膝頭へ巻いて上げ、一本の脛をつッかえ棒に、黒い尻をはっ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い、その上|紋着。やがて渚に聞けば、しかも五つ紋で。――これは外套の頭巾ばかりを
木菟に被って、藻抜けたか、辷落ちたか、その魂魄のようなものを、片手にふらふらと提....
「菊人形」より 著者:宮本百合子
へひっこむについて、大学の赤門の門番になった。わたしたちの知ったとき、もう浅吉の
木菟のようなふくらんだ頬っぺたには白く光る不精髭があったし、おゆきは、ばあやさん....
「姨捨」より 著者:堀辰雄
位、深い木立に囲まれた、昼でもなんとなく薄暗いような処だった。夜になると、毎晩、
木菟《ずく》などが無気味に啼《な》いた。が、田舎に育った少女はそれを格別寂しいと....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
の読書の報告をしないで又々バルザックですみませんが、どうぞ辛棒なさって下さい。「
木菟党」をよみ終り、一七九五年頃のブルターニュの状況、あの時代ナポレオン時代の紛....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ら、直接に聞いた時でさえ、例の鶯の初音などとは沙汰の限りであるから、私が真似ると
木菟に化ける。第一「あんた、居やはりますか。」さて、思うに、「あの、居なはるか。....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
いわゆる近代の御伽百物語の徒輩にあらずや。果してしからば、我が可懐しき明神の山の
木菟のごとく、その耳を光らし、その眼を丸くして、本朝の鬼のために、形を蔽う影の霧....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
運八父子の手に成った……」 「勿論ですわ。――法界屋にお辞儀をなすった方が、この
木菟入道に……」 おお、今度は
木菟入道。 「挨拶をなさらないのは。――あなた、....
「狐」より 著者:岡本かの子
はない。在るものは欅並木に、冬の月、仕舞って帰った茶屋の婆が、仕舞い忘れた土産の
木菟。形は生ものでも実は束ねた苅萱。これなら耳があったとて大事なかろう。 ――で....