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「木賃宿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

木賃宿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
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半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
……。それから、お鎌はどうしました」 「一旦は逃げましたが、五、六日の後に深川の木賃宿《きちんやど》で挙げられました。お鎌は竜濤寺に隠してある金に未練が残ってい....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を指さしただけで、苦しみ死に死んでしまったのです。遠国の者ではあり、下谷あたりの木賃宿にころがっている宿無し同様の人間ですから、死ねば死に損で誰も詮議する者もな....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
屋へときどきに猿や狼を売りにくる甲州辺の猟師が、この頃も江戸へ出て来て、花町辺の木賃宿に泊まっている。かれは小博奕の好きな男で、水茶屋ばいりの資本を稼ごうとした....
婦系図」より 著者:泉鏡花
わずに、すっきりしたその人へ義理が有るから、手も附けないで突出すつもりで、一先ず木賃宿へ帰ろうとする処を、御用になりました。たった一時でも善人になってぼうとした....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、しきりに口止めの方法を講じていたが、安吉の無心は際限がなかった。かれは本所の木賃宿に転がっていて、お元から強請る金を酒と女に遣い果たすと、すぐに又お鉄をよび....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
うと言う。看板にはグランドホテル何とかと書いてある。が、はいって見れば、要するに木賃宿なのだ。今あいているという三階のある室に通された。敷物も何にも敷いてない狭....
獄中記」より 著者:大杉栄
十二の春から二十四の夏までの、血気に逸った若気のあやまちからのことだ。 とんだ木賃宿 もっとも、その後一度ふとしたことからちょっと東京監獄へ行ったことがある....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
らと、春の日を中へ取って、白く点したらしく、真昼浮出て朦と明るい。いずれも御泊り木賃宿。 で、どの家も、軒より、屋根より、これが身上、その昼行燈ばかりが目に着....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に記してあった。看板を書かえる隙もない、まだ出たてだという、新しさより、一人旅の木賃宿に、かよわい女が紙衾の可哀さが見えた。 とばかりで、俊吉は黙って通過ぎた....
黒百合」より 著者:泉鏡花
た時、お兼は新庄の山の頂を越えた、その時は、裾を紮げ、荷を担ぎ、蝙蝠傘をさして、木賃宿から出たらしい貧しげな旅の客。破毛布を纏ったり、頬被で顔を隠したり、中には....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
があるそうです。案内者の三津子さんが前の人車に、わたくしが後の人車に乗せられて、木賃宿のようなきたない旅籠屋や茅葺き屋根の下に小さい床几を出している氷屋などがな....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
のような汚がり屋さんが、はばかりをどうするって笑うんですの。巡礼といえば、いずれ木賃宿でしょう、野宿にしたって、それは困るわね。でも、真面目ですよ、ご覧なさい―....
山吹」より 著者:泉鏡花
現世の心の苦しみが堪えられませぬで、不断常住、その事ばかり望んではおりますだが、木賃宿の同宿や、堂宮の縁下に共臥りをします、婆々媽々ならいつでも打ちも蹴りもして....
雪柳」より 著者:泉鏡花
ね、」は嬉しいけれども、旅にして人の情を知る、となると、どうしても侘しい片山家の木賃宿。いや、下宿の三階建の構だったのですが、頼む木蔭に冬空の雨が漏って、洋燈の....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
祈っていたが、やがて自分の名刺を出してその裏に「本所花町箱舟屋」と書いた。『この木賃宿へいけば、悪いようにはしないはずです』私はただちに士官に教えられた通り箱舟....