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木鋏
「木鋏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木鋏の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
の根を断《た》ってしまうものではない。むしろ古い問の代りに新らしい問を芽ぐませる
木鋏《きばさみ》の役にしか立たぬものである。三十年|前《ぜん》の保吉も三十年|後....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
様子が太々《ふてぶて》しいといって、何もくれなかったりした。土掻《つちかき》や、
木鋏《きばさみ》や、鋤鍬《すきくわ》の仕舞われてある物置にお島はいつまでも、めそ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
牙にかけず、晴々と笑っていて、「いいものを見せましょうか」と、台所から一挺日本の
木鋏を持ち出した。 「夏になったらこれで、じょきんじょきんやるんだね。植木鉢を買....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、二尺余の杉苗を買うて私は母屋の南面に風よけの杉籬を結いました。西の端に唯一本|
木鋏を免れた其杉苗が、今は高さ二丈五尺、幹の太さは目通り一尺五寸六分になりました....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
した。御主人じゃ相変わらずお忙しいでしょうな。ははははは」 「まるで※駝師でね、
木鋏は放しませんよ。ほほほほ。まだ菖蒲には早いのですが、自慢の朝鮮|柘榴が花盛り....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ていた。冬越ししてもさもさになった野馬の毛を刈るように、それらに手を入れるのだ。
木鋏で刈りながら、伸子は祖母といろいろなことを話した。 「これからはなかなかいそ....
「洋灯」より 著者:横光利一
をつけた灌木の枝で家の中が繁った。縫台の上の竹筒に挿した枝に対い、それを断り落す
木鋏の鳴る音が一日していた。 ある日、こういう所へ東京から私の父が帰って来た。....
「指」より 著者:佐左木俊郎
れるのだ。彼女はそれを考えると厭な気がした。 併し彼女は、右手に、鋭利な大型の
木鋏を握って、すっぽんが首を出すのを待たなければならなかった。これだけは他人に頼....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
媚かしい中へ、さし入れた。手首に冴えて淡藍が映える。片手には、頑丈な、錆の出た、
木鋏を構えている。 この大剪刀が、もし空の樹の枝へでも引掛っていたのだと、うっ....
「麦畑」より 著者:宮本百合子
って、背中に山や沼を吹き越して来る涼風を受けながら、調子付いてショキリショキリと
木鋏を動して居ると、誰か彼方の畑道を廻って来た人がある。 角まで来て日傘を畳ん....
「人の国」より 著者:豊島与志雄
、木の葉が一枚一枚輝いていた。雀の囀る声が急に耳についてきた。久保田さんは小さな
木鋏を取ってきて、植込の枯枝を切ったりなんかしながら、朝食までの時間を庭で過した....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
》をかかえて梯子段を上りきった時には、息が切れてしまうような思いをした。それから
木鋏《きばさみ》をもって庭へ行った。いちばん美しい薔薇《ばら》や初咲きの枝を、容....