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木香
「木香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木香の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
々した庭が、先ずお島の目を惹《ひ》いた。木組などの繊細《かぼそ》いその家は、まだ
木香《きが》のとれないくらいの新建《しんだち》であった。
留守を頼んで行った大....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の屋敷を出発した。土用明けの富士の裾野、鍵手ヶ原は朝|靄立ちこめ桔梗、女郎花、吾
木香など、しとどに露に濡れている。 「いつまでお見送り願っても容易に名残りは尽き....
「清貧の書」より 著者:林芙美子
、第九番目、山の兵営からの手紙は頬を染めるような文字で埋《うま》っている。――吾
木香《われもかう》すすきかるかや秋くさの、さびしききはみ、君におくらむ。とても与....
「細木香以」より 著者:森鴎外
一 細
木香以は津藤である。摂津国屋藤次郎である。わたくしが始めて津藤の名を聞いたのは、....
「嬰寧」より 著者:田中貢太郎
、数月の中に、家の入口、踏石、垣根、便所にかけて花でない所はなくなった。庭の後に
木香の木の棚があった。それは元から西隣の家との境にあった。嬰寧はいつもその棚の上....
「月夜のあとさき」より 著者:津村信夫
んな蕎麦畑になるのである。 山の月をみるためには、畳を敷いた坊の廊下に、薄や吾
木香が供えられた。 蕎麦を打つのは、家内総出であって、少年と雖ども心得ている。....
「源氏物語」より 著者:紫式部
つまにする萩の花などはお顧みにならずに、不老の菊、衰えてゆく藤袴、見ばえのせぬ吾
木香などという香のあるものを霜枯れのころまでもお愛し続けになるような風流をしてお....
「悲しめる心」より 著者:宮本百合子
に向って進んだ。 私がその部屋の入口に立った時、美くしい友禅の影はなくて檜の白
木香り高い裡に静かに親属の手によって納められ、身の囲りにはみどりの茶が入れられて....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
時、私はまだ六歳にしかなっていなかったが、彼が死んだとはどうしても思えなかった。
木香《きが》のぷーんとする白木の棺の中に、真白な布にくるくる巻かれて、誰が入れて....
「蒼白い月」より 著者:徳田秋声
へ行ってみましょう」桂三郎は暗い松原蔭の道へと入っていった。そしてそこにも、まだ
木香のするような借家などが、次ぎ次ぎにお茶屋か何かのような意気造りな門に、電燈を....