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未だし
「未だし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
未だしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「風の便り」より 著者:太宰治
なくさせたのは、一体、誰だったでしょう。それは、先輩というものでありました。心境
未だし、デッサン不正確なり、甘し、ひとり合点なり、文章粗雑、きめ荒し、生活無し、....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
がしていたので。 多鶴子は莫迦にされているような気がした。無躾に質問される方が
未だしもだと、思うぐらいであった。多鶴子はふっと顔をそむけて、窓の外を見た。道頓....
「浮浪漫語」より 著者:辻潤
産も、知識も腕力も美貌も技能もなんにもない男だ――それでもせめて年でも若いなら、
未だしも最早不惑の年に手が届きそうになっている。それにも拘らず尚一ツ、若く美しく....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
き明して宝を取り出す道を開いたのが、私の密旨の一部です、一部だけでも仕遂げたのは
未だしもの幸いゆえ、之を父上と貴方とへの万一の御恩返しと致します」斯う云って未練....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
、張合抜けもしたような様子を見て取り、雛妓は、ここが言出すによき機会か、ただしは
未だしきかと、大きい袂の袖口を荒掴みにして尋常科の女生徒の運針の稽古のようなこと....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あった。ところが、それに必要な水と毛髪とが、カルデア古呪文の中に隠されていたのは
未だしもの事で、より以上の驚きと云うのは、ほかにあったのだ。それは、その装置を力....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
その二。おなじ言葉を、必ず、二度むしかえして口の端に出さぬこと。 その三。「
未だし。」 感想なんて! まるい卵もきり様ひとつで立派な四角形になるじゃないか....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
、細き口もとにおのずからなる微笑あり。 幾があたかもうわさしたるはこの人なり。
未だし。一週間以前の不動|祠畔の水屑となるべかりし浪子をおりよくも抱き留めたるは....
「画室の言葉」より 著者:藤島武二
に見え、労作の痕跡がありありと窺われているのでは、それを真の完成品と称することは
未だしである。真の完成品とは即ち画面にいささかの作為も見られず、すこしの渋滞を止....
「一本の花」より 著者:宮本百合子
のある、右と左と少しちんばなような、印象的な眼で笑いかけた。 「念を押すところが
未だしも愛すべきですね。『姦《かしま》し』に一つ足りないなんてもの、まあこちらか....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
? 吾人はこれに対する解答を、どこか前に他の章で暗示したようにも思われるし、また
未だしなかったようにも考えられる。とにかく何《いず》れにせよ、この章に於て決定的....
「梅若七兵衞」より 著者:三遊亭円朝
、これから御贔屓になってお屋敷へ出んければ成らん」 金田「予て噂には聞いていたが
未だしみ/″\会わん、下谷辺へ来るような事があったら、身が屋敷へも寄っておくれ」....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
然としていやしない。ゼンソク持ちはタクサンいるが、その正体も判然とせず、特効薬も
未だしである。肝臓の機能は? 脳味噌の機能は? それも判然とはしない。貧乏人をな....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
迫していたらしい。生きていれば死罪又は獄門の罪人であるから、女の手に葬られたのは
未だしもの仕合せであるかも知れない。 千生は自分の不心得から母が殺されるように....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
れがばれたものだから逃げ出したのと、有った事か無い事か知らんが罵詈讒謗を始めたは
未だしも、仕舞には弟が非常に怒って兄をぶん撲る。大きな石を投げ付けるという始末。....