未だ嘗て[語句情報] » 未だ嘗て

「未だ嘗て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

未だ嘗ての前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
食魔」より 著者:岡本かの子
うち、ふと鼈四郎に気が付いて来たことがあった。このように諸方で歓迎されながら彼は未だ嘗て尊敬というものをされたことがない。大寺に生れ、幼時だけにしろ、総領息子と....
運命」より 著者:幸田露伴
故を以て、老将を退け、驕児を挙ぐ。燕王手を拍って笑って、李九江は膏梁の豎子のみ、未だ嘗て兵に習い陣を見ず、輙ち予うるに五十万の衆を以てす、是自ら之を坑にする也、....
恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
序であるが、恋愛曲線を完成させたいのと彼女の悲壮な希望を満足させるために、僕も、未だ嘗て試みなかった血液流通法を試みようと思うのだ。今までは注射|針を以て左の腕....
近世快人伝」より 著者:夢野久作
式の相手に対して最も多くの興味を持つ事を生涯の誇りとし楽しみとしている。そうして未だ嘗て喰われた事がないことを彼に対して野心を抱く人々の参考として附記しておく。....
鼻の表現」より 著者:夢野久作
、言葉を換えて云えば「鼻の表情」とでもいうべきものが独立して研究されたという事を未だ嘗て一度も承わった事が無いのであります。 活動やお芝居なぞを見ておりまして....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
えた事は無いが、尽く皆文人対文人の問題――主張対主張の問題では無い――であって、未だ嘗て文人対社会のコントラバーシーを、一回たりとも見た事が無い。恐らく之は欧洲....
現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
そういう場合の存在は精々例の判断のコプラのようなものを出ないだろうが、実は歴史上未だ嘗て無かったとさえ云って好い。 では何が優れた意味に於て存在者乃至存在物で....
蜘蛛」より 著者:豊島与志雄
比較的大きく、最も精悍である。 その女郎蜘蛛が、東京の市内には見当らない。私は未だ嘗て市内でその姿を見たことがない。他の蜘蛛は、それぞれの種類を市内で見かける....
猫先生の弁」より 著者:豊島与志雄
った。その小料理屋は戦災に焼けてしまったし、犬の先生の消息も途切れた。だが私は、未だ嘗て犬を飼ったことはない。 その代り、猫のために不思議な経験をしたことがあ....
乾杯」より 著者:豊島与志雄
れるもので、多くは結婚に至る道程にあるものでしょう。けれど、彼と彼女との間には、未だ嘗て、結婚のことは固より、愛情のことも語られませんでした。ただ暗黙のうちに、....
滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
輯者中、僕の最も懇意にしたのは正に滝田君に違いなかった。しかし僕はどういう訳か、未だ嘗て滝田君とお茶屋へ行ったことは一度もなかった。滝田君は恐らくは僕などは話せ....