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未成品
「未成品〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
未成品の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「校正後に」より 著者:芥川竜之介
非難する人がある。しかし僕は、小さくとも完成品を作りたいと思っている。芸術の境に
未成品はない。大いなる完成品に至る途《みち》は、小なる完成品あるのみである。流行....
「弓町より」より 著者:石川啄木
は自分自身の卑怯《ひきょう》に烈しい反感を感じた。この反感の反感から、私は、まだ
未成品であったためにいろいろの批議を免《まぬが》れなかった口語詩に対して、人以上....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
絵画など――ことに絵画はかれをして後世永久の名を残さしめた物だが、ほとんどすべて
未成品だ――を平気で、あせることなくやっている間に、後進または弟子であってまた対....
「模倣と独立」より 著者:夏目漱石
分が自分の絵を描いている、という感じは確かにしました。しかしその色の汚い方の絵は
未成品《みせいひん》だと思います。それだから同情もありそれを描いた人に敬意も持ち....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
一本で、刻みのあとの荒い馬の姿が、なかばできかかったまま立っている。 が、この
未成品、すでに惻々《そくそく》と人に迫る力をもっているのは、やはり、作阿弥の作阿....
「マードック先生の『日本歴史』」より 著者:夏目漱石
ち十七世紀の中頃から維新の変に至るまでの沿革《えんかく》は、今なお述作中にかかる
未成品《みせいひん》に過ぎなかった。その上去年の第一巻とこれから出る第三巻目は、....
「一つの思考実験」より 著者:寺田寅彦
めたいためにまず自身でそれを試みてみようと思い立った。その実験は未了でその結果は
未成品に過ぎないが、それにもかかわらずその大要をしるしてみたいと思うのである。 ....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
という訴えが小さい子等から母や祖母の前に提出されているようであった。画家の中には
未成品を人に見られる事を厭がる人がずいぶん多いようであるが、これには無論種々な複....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
ているに相違ないから、一人前でもないくせに、てんから私を見くびっている。こういう
未成品のジロリは小憎らしいもので、衣子家飼いならしのよく吠えるフォックステリヤ、....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
弟子入りや共産党の手紙は中途半端で分類以前の筆蹟であるが、つまり彼らは筆蹟的にも
未成品であることを示している。 このときのハガキは、そうでない筆蹟の中でも特に....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
出来上がらぬうちに氏は世を去りましたので、友人たちが故人の触を毀わさず残そうと、
未成品のままブロンズにして永久に作者を偲ぶことにしたのです。鋳造を同郷の人山本安....
「芸術と数学及び科学」より 著者:三上義夫
見も多く、ガリレオなどの研究の先駆者となっている。しかしながら、その研究の多くは
未成品のままに遺されたのである。 またダ・ヴィンチが地質学上において山岳の構成....
「探偵小説壇の諸傾向」より 著者:平林初之輔
て省略されているような場合もある。どこかに鋭いものをもっていそうな感じがするが、
未成品である。踏査未了の鉱脈のようなもので、はたしてそれが金鉱であるか銅鉱である....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
常用語を消化して全く文章離れがしていたが、美妙のはマダ在来の文章型を脱し切れない
未成品であった。美妙の功労を十分認めるとしても、また創始者たる名誉は二人の中のド....
「痴人と死と」より 著者:ホーフマンスタールフーゴー・フォン
しょくもつ》をやって介抱をするものだ。僕の魂《たましい》の生み出した真珠のような
未成品の感情を君は取《とっ》て手遊《おもちゃ》にして空中に擲《なげう》ったのだ。....