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「未生〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

未生の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
あげた刹那《せつな》、映じた風景は、むろん異国的ではありながら、その癖《くせ》、未生《みしょう》前とでもいいますか、どこかで一回は眺《なが》めたことがあるという....
」より 著者:夏目漱石
があった。 「まあ何から入っても同じであるが」と老師は宗助に向って云った。「父母未生《ふぼみしょう》以前《いぜん》本来《ほんらい》の面目《めんもく》は何《なん》....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
日は探偵をスリ泥棒に比し、まるで矛盾の変怪《へんげ》だが、僕などは終始一貫|父母未生《ふもみしょう》以前《いぜん》からただ今に至るまで、かつて自説を変じた事のな....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
いん》の門を潜《くぐ》って得た情緒《じょうしょ》は、浮世を歩む年齢が逆行して父母未生《ふもみしょう》以前に溯《さかのぼ》ったと思うくらい、古い、物寂《ものさ》び....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
著わした鈴木の説に従えば『道は宇宙に形を与える原理であると同時に、また「天と地の未生以前に存在した渾沌たる組成のある物」、すなわち原始物質を意味するもののようで....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
れを今日ふいと思い出した、ほとんど一日がかりの墓参りであったらしい。 なつかしや未生以前の青嵐(昭和十年七月、渋柿) 風呂桶から出て胸のあたりを流していたら左....
光と風と夢」より 著者:中島敦
台を建てた時の詳しい記録が残っている。それを読んでいる中に、何だか自分が(或いは未生の我が)本当にそんな経験をしたかのような気がして来る。自分は自分が思っている....
十二支考」より 著者:南方熊楠
や根で防ぎ得としたのだ。今もシシリーでは牝鶏が卵を伏せ居る巣の底へ釘一本置きて、未生の雛に害あるすべての騒々しい音を、釘が呼び集め吸収すると信ず。さて珍な事はイ....
高浜虚子著『鶏頭』序」より 著者:夏目漱石
で生ずる。 余は禅というものを知らない。昔《むか》し鎌倉の宗演和尚に参して父母未生以前《ふもみしょういぜん》本来の面目はなんだと聞かれてがんと参ったぎりまだ本....
海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
。 夜の来た硝子の窓には 背に燈火を負う私の姿が 万年筆の金冠のみを燦然と閃かせ未生の夢に包まれたように くろく 静かに 写って居る。 * ああ、海!....
科学上の骨董趣味と温故知新」より 著者:寺田寅彦
の骨董趣味は常に存在し常に流行しているのである。 もし科学上の事実や方則は人間未生以前から存していて、ただ科学者のこれを発見し掘出すのを待っているに過ぎぬと考....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いる。これは已むに已まれぬ執著に外ならない。執著の業には因がある。その業因は彼の未生以前に遡る。目を遣れば遣るほど計り知れぬ劫初にきざしているといってもなお及ば....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
鬚をまさぐりながら、 「この月の今日、申の刻に、あなたがここを通りあわすことは、未生《みしょう》前からの約束でな、この宿縁をまぬかれることは出来申さぬのじゃ」 ....
詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
容の極めて乏しい平安朝語を基礎とした文体によって、彼の宗教をえがこうとした。私の未生以前明治十八年、「十二の石塚」を公表した人である。あれだけの内容を持ちながら....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、優陀夷が結納の使者に立つ処、のちに、矯曇弥が嫉妬の処。やがて夫人が、一度、幻に未生のうない子を、病中のいためる御胸に、抱きしめたまう姿は、見る目にも痛ましい。....