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「末つ方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

末つ方の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
たき火」より 著者:国木田独歩
声をも立てで翼打《はうち》ものうげに鎌倉のほうさして飛びゆく。 ある年の十二月末つ方、年は迫《せま》れども童《わらべ》はいつも気楽なる風の子、十三歳を頭《かし....
白くれない」より 著者:夢野久作
き、人知れず身を晦まさむ時の用意に備へたるものにぞありける。 去る程に其の春の末つ方の事なりけり。何の故にかありけむ。此の長崎にて切支丹の御検分ことのほか厳し....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
くなりき。 時彦はその時よりまた起たず、肺結核の患者は夏を過ぎて病勢募り、秋の末つ方に到りては、恢復の望絶果てぬ。その間お貞が尽したる看護の深切は、実際隣人を....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、その大願を成就したが、それで故郷に大安住の終りを求めたわけではない。享和二年の末つ方、またも故郷を立ち出でて、再び故郷へは帰らざる旅に出た。 その後、信濃路....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
にて、杉谷という村は、山もて囲まれたる湿地にて、菅の産地なり。この村の何某、秋の末つ方、夕暮の事なるが、落葉を拾いに裏山に上り、岨道を俯向いて掻込みいると、フト....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
んでいると羨んでいた。そうしてその後任を自分で引受けたく思うていた。 三|月の末つ方、消えがてなりし雪も、次第に跡なく融けた或夜、病院の庭には椋鳥が切りに鳴い....
五重塔」より 著者:幸田露伴
くの腕を得つ日々工事捗取り、肩疵治るころには大抵塔もできあがりぬ。 時は一月の末つ方、のっそり十兵衛が辛苦経営むなしからで、感応寺生雲塔いよいよものの見事に出....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
無口な客は馬の背から那古の浦に気を奪られている。 それは、武蔵だった。 春の末つ方からこの冬の暮まで、どこを足にまかせて歩いて来たのか、皮膚は渋紙のように風....