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「末広がり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

末広がりの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
源おじ」より 著者:国木田独歩
。舷燈の光|射《さ》す口をかなたこなたと転《めぐ》らすごとに、薄く積みし雪の上を末広がりし火影走りて雪は美しく閃《きら》めき、辻を囲める家々の暗き軒下を丸き火影....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ふと起こった好奇心からズンズン奥の方へはいって行った。 行くに従って岩穴は末広がりに次第に拡がり、左右の岩壁も天井も、もう躰へさわろうともしない。そうして....
登山の朝」より 著者:辻村伊助
頭の上には、雪のはげた山稜が仰がれる、そのギザギザにくずれ落ちた岩の裾から、末広がりにこのクーロアールがすべっている、その間々には、急な岩角がまっ黒に背を出....
野球時代」より 著者:寺田寅彦
。 いかに現在の計測を精鋭にゆきわたらせることができたとしても、過去と未来には末広がりに朦朧たる不明の笹縁がつきまとってくる。そうして実はそういう場合にのみ通....
石狩川」より 著者:本庄陸男
きどき増水し、また氾濫《はんらん》した。濁った流れは青い海水のなかに、扇のように末広がりに、内海一ぱいになるかと思われた。 船を着ける港の街は、それらの何《い....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
の熔岩流をひろげて、下吉田の町まで肉薄する剣丸尾、青木ヶ原の樹海から精進村まで、末広がりに扉開きになる青木ヶ原丸尾を、眼下に展開する。殊に青木原一帯の丸尾(先人....
函館の大火について」より 著者:寺田寅彦
域を調べてみると、相応な風のあった場合にはほとんどきまって火元を「かなめ」として末広がりに、半開きの扇形に延焼している。これは理論上からも予期される事であり、ま....
薬草取」より 著者:泉鏡花
ます。 本当に貴方がおっしゃいます通り、樵夫がお教え申しました石は、飛騨までも末広がりの、医王の要石と申しまして、一度|踏外しますと、それこそ路がばらばらにな....
源氏物語」より 著者:紫式部
は父君の院の御在世当時にも劣らず中宮のためにあらゆる物をととのえて奉仕していた。末広がりになった一族であったから、かえって昔よりも六条院のはなやかさはまさってさ....
」より 著者:寺田寅彦
が乗っかって、それに菓物やら花がいっぱい盛り上げてあった。 前面には湖水が遠く末広がりに開いて、かすかに夜霧の奥につづいていた。両側の岸には真黒な森が高く低く....
庶民生活」より 著者:豊島与志雄
しまいにもう一本と切りぬけ、六という数は面白くないから七にしよう、それよりは八が末広がりでよかろう、八も半端だから十にしてしまおう、打ち止めにもう一本と、巧みに....
次郎物語」より 著者:下村湖人
って、ほとんど重なりあうように接近して引かれた二つの線の間のスペースを、わずかな末広がりを楽しみに進んでいけるというにすぎないのではあるまいか。もしそうだとする....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
人なみだが、顎だけはひどく桁はずれ。出来のいい長生糸瓜《ながなりへちま》のように末広がりにポッテリと長くのびている。よって、阿古に濁《にご》りを打って仙波顎十郎....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
傾け尽して狭い落ち口から一度に切って放たれた水が、ドット迸り出でさま虚空を跳って末広がりに滾々と落ちて来る。夫から上は右側の山の胴骨がずっと近く寄って、狭く急な....