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末枯れ
「末枯れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
末枯れの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
羽織を着て、水の滴るような鼈甲の櫛笄をさして居ります。年は四十の上を余程越して、
末枯れては見えますが、色ある花は匂失せずで、何処やらに水気があって、若い時は何様....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
来た消毒器やメスやピンセットを縁側に敷いた防水布の上にちかちか並べた。夏もすでに
末枯れかけたころで、ここは取分け陽の光にいつも翳があった。その光のなかで荒療治が....
「旅愁」より 著者:横光利一
幻影が幻影を見ている間を、窓の外では、晩秋の光線が徐徐に日暮れに傾きつつ、樹樹の
末枯れた葉の影を深めてゆく。庭の柿の木の下で、落ち潰れて久しくたった熟柿の皮から....
「九月の或る日」より 著者:宮本百合子
る。 四 暗くなってから、私共三人は百花園を出た。百花園の
末枯れた蓮池の畔を歩いていた頃から大分空模様が怪しくなり、蝉の鳴く、秋草の戦ぐ夕....
「金色の口」より 著者:宮本百合子
に山腹よりに近づき、ドーモンその他の砲台跡を見物させる。 もう朝夕は霜がおりて
末枯れかかったとある叢の中に、夕陽を斜にうけて、金の輪でも落ちているように光るも....
「女靴の跡」より 著者:宮本百合子
ーモンへ着いた時には、落ちかかると早い日が山容を濃く近く見せはじめた。朝夕の霜で
末枯れはじめたいら草の小径をのぼってゆくと、茶色の石を脚の高さ二米ばかりの巨大な....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
ッと庭に目を遣ると、杉垣の傍の、笹混りの草の葉が、既う紅葉するのは、して、何時か
末枯れて了っている中に、ひょろ/\ッと、身長ばかり伸びて、勢の無いコスモスが三四....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
「その立山に、常夏に雪ふりしきて」(同・四〇〇〇)、「白砥掘ふ小新田山の守る山の
末枯れ為無な常葉にもがも」(巻十四・三四三六)等がある。 十市皇女は大友皇子(....
「小さい子供」より 著者:宮本百合子
渡すと、多勢の人が歩き廻って居る時には左程にも思いませんけれ共、木の梢も痩せ草も
末枯れて居ておまけに人っ子一人居ないのですからもうそりゃあそりゃあ広くはるかに見....
「幼年時代」より 著者:室生犀星
、姉が今にも行きそうな気がしてならなかった。私は庭へ出た。見るものがみな悲しく、
末枯れの下葉をそよがせていたばかりでなく、川から吹く風が沁みて寒かった。 座敷....
「三階の家」より 著者:室生犀星
うもそうしないと寝られない。」 松岡は一つ一つの部屋を見廻ってあるいていると、
末枯れどきのうそ寒さが慄々と肌身に沁みついた、からだが震えて止りそうもなかった。....
「童話」より 著者:室生犀星
けが何時もよく見える………と言った。姉は崖の方をながめた。石白く茫々たる磧の草も
末枯れて茜色に染まり、穂のあるものはとくに穂を吹かれてしまった蕭殺たる景色であっ....