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札差
「札差〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
札差の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
を使う。これをのろま人形と云う。野呂松の略語なり」とある。昔は蔵前《くらまえ》の
札差《ふださし》とか諸大名の御金御用とかあるいはまたは長袖とかが、楽しみに使った....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
いた。 ことに御医術の野呂玄丈や、山形侯の医官安富寄碩、同藩の中川淳庵、蔵前の
札差で好事の名を取った青野長兵衛、讃岐侯の浪人平賀源内、御坊主の細井其庵、御儒者....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
僕の一家は宇治紫山という人に一中節を習っていた。この人は酒だの遊芸だのにお蔵前の
札差しの身上をすっかり費やしてしまったらしい。僕はこの「お師匠さん」の酒の上の悪....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が死んでしまったので、その売り先が知れません。だんだん探ってみると、どうも浅草の
札差の家らしいのですが、こうなると先方でも面倒のかかるのを恐れて、一切知らないと....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
此所は今の高等工業学校校内になっている)。左側は、伊勢広、伊勢嘉、和泉喜などいう
札差が十八軒もずっと並んでいて豪奢な生活をしたものである。で、
札差からの注文を受....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ましょう。 それに引き代え、江戸は八百万石のお膝下、金銀座の諸役人、前にいった
札差とか、あるいは諸藩の留守居役といったような、金銭に糸目をつけず、入念で、しか....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
に、二代目一陽斎豊国という名高い浮世絵師がありました。 あるとき、豊国は蔵前の
札差として聞えた某の老人から、その姿絵を頼まれました。どこの老人もがそうであるよ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
の気分も変り、型も改まって全く昔を偲ぶよすがもない。この屋形船は大名遊びや町人の
札差しが招宴に利用したもので、大抵は屋根がなく、一人や二人で乗るのでなくて、中に....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
たのでございますよ。陸女の死ぬ時の遺言状だったので。その陸女という女ですが、ある
札差しの家内でしてな、大変な財産を持っていたそうで。そうして後家さんになってから....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
ことであった。 「大変なお方がお立ち寄りになった。これは大和屋文魚様で! 蔵前の
札差し、十八大通のお一人! 河東節の名人、文魚本多の創始者、豪勢なお方でございま....
「牛」より 著者:岡本綺堂
家から大勢が出て来て、石でも棒切れでも何でも構わない、手あたり次第に叩きつける。
札差の店からも大勢が出て来て、小桶や皿小鉢まで叩きつける。 さすがの牛も少しく....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
ます。どうぞわたくしに免じて放生会をなにぶんお願い申します。」 和泉屋は蔵前の
札差で、主人の三右衛門がここへ通りあわせて、鯉の命乞いに出たという次第。桃井の屋....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
華客場を持っていられたということであります。 たとえば、この前お話したように、
札差の中では、代地の十一屋、天王橋の和泉屋喜兵衛、伊勢屋四郎左衛門など、大商人で....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
形にあったが、その時分蔵前の北元町四番地へ転宅することになった。 この家は旧|
札差の作えた家で、間口が四|間に二間半の袖蔵が付いており、奥行は十間、総二階とい....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
私の妻の祖母は――と云って、もう三四年前に死んだ人ですが――蔵前の
札差で、名字帯刀御免で可なり幅を利かせた山長――略さないで云えば、山城屋長兵衛の....