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「朱肉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朱肉の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
貸のすでに武男が家に向かいしを知らざるなりき。 山木はうなずき、ベルを鳴らして朱肉の盒を取り寄せ、ひと通り証書に目を通して、ふところより実印取り出でつつ保証人....
石狩川」より 著者:本庄陸男
た。日向に馴《な》れていた彼の眼に、その瞬間あたりはまッ暗であった。書類や筆墨や朱肉やなどの――あの役所にだけある特別な臭気が、つンと鼻をついた。取りすました役....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
かされもしたのであろう、よくこんなことを言った。 「黒い、大きな判《はん》こが、朱肉になってくると、商業《あきない》の具合がちがってくるな。」 紫色のスタンプ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
昨年だったか、手紙の中におしてお目にかけたの、覚えていらっしゃるかしら。この頃は朱肉のいいのがなくなりました。朱もよそから来ていた由。日本画家はキューキューの由....
南国太平記」より 著者:直木三十五
に、手紙を持って来た。 「おいきた」 一人が、受取ると、益満が、矢立を開いて、朱肉を印へついて、手紙を、裏返すと 「うむ」 と、云った。そして 「おい」 ....
中支遊記」より 著者:上村松園
支那兵を思い出したりした。 杭州にて 杭州では西冷印社という印肉屋に朱肉を見に行ったりした。少し茶色がかった朱肉などもあった。 西湖に姑娘が漕ぐ舟....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
いっそう、かんしゃくをつのらせるばかりだ。もだもだしているうちに、食事が始まる。朱肉《しゅにく》色の生雲丹《なまうに》のあとで、苦蓬《エストラゴン》をいれたジェ....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
の」 そういいながら、手早く草の上にナプキンをひろげます。サンドイッチが、白と朱肉色の切り口を見せて坐っています。赤い林檎《りんご》と冷たい蜜柑水《みかんすい....
我が円朝研究」より 著者:正岡容
雌龍の右の手が見事に書き上がって、然も落款まで据わって、まだまだ生々と致して印の朱肉も乾かず龍の画も隈取の墨が手につくように濡れて居りますのは、正しく今書いたの....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
きを、表の金質に好配して、黄金また銀の薄金を覆輪に取って、しっくりと張るのだが、朱肉入、驕った印章入、宝玉の手奩にも、また巻煙草入にも、使う人の勝手で異議はない....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
も、寛永や元和頃なら、もう日本へ篆書の本が渡っているので、あってふしぎはないな。朱肉の色は、上の印と、下のと少し違っているのう。べつな日に書いたのかなあ。画が先....
南画を描く話」より 著者:中谷宇吉郎
とが届いた。手紙には「先日の雪の絵はなかなか良いが、あの判を貴方《あなた》の所の朱肉《しゅにく》で押されてはちょっと困る。別便で朱泥《しゅでい》を少々送ったから....