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「朴直〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朴直の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
って居《お》られようが、雅平《まさひら》は予と違って、一図に信を起し易い、云わば朴直な生れがらじゃ。されば予が世尊金口《せそんこんく》の御経《おんきょう》も、実....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
愈《いよいよ》彼の人柄に敬服した。その敬服さ加減を披瀝《ひれき》するために、この朴直な肥後侍《ひござむらい》は、無理に話頭を一転すると、たちまち内蔵助の忠義に対....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
《あえ》て重い荷物を担がせられたから憤慨するのではないが、一国の生命は地方人士の朴直勤勉なる精神にありとさえいわれているのに、その地方人士の一部がかくも懦弱にし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
すか。みんな――とっくに飲んでしまったわなし。」 粗野で魯鈍ではあるが、しかし朴直な兼吉の目からは、百姓らしい涙がほろりとその膝の上に落ちた。 桑作は声もな....
弟子」より 著者:中島敦
俗才に妨げられてか、明敏子貢には、孔子のこの超時代的な使命についての自覚が少い。朴直《ぼくちょく》子路の方が、その単純極まる師への愛情の故であろうか、かえって孔....
光と風と夢」より 著者:中島敦
「余を余りにも酷《ひど》く欺した者」。私の帆船が彼の島を立去る時、豪毅《ごうき》朴直な此の独裁者は、殆ど涙を浮かべて、「彼を少しも欺さなかった」私の為に、訣別《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
井の心を憂えしむるものは、最初につれて来た船大工の清吉の死があるばかりだ。無口で朴直《ぼくちょく》なあの男、寝食を共にしていたあの男の行方《ゆくえ》が、今以て不....
われを省みる」より 著者:宮本百合子
ことは問題になっても主観としては、これ等の知識からまるで放たれ、もっとももっとも朴直な而も純な太古の心を以て、わが宇宙をわが愛で認識し、整理してこそ甲斐があると....
長崎の印象」より 著者:宮本百合子
。 「――ただ見るだけ……」 折角来たのに失望も感じたが、爺さんの眼付と言葉は朴直を極め、強いてそれ以上何と云う余地もない。 私共は左に花壇のある石段を登り....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
清の野郎が行方知れずになりましたか、あいつは人間が少し愚図ですからな」 「人間は朴直《ぼくちょく》であって、腕は、お前の秘蔵弟子だけに見所《みどころ》のある男で....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
い作品を愛することはできないが、それが二十年もの歳月を経ると心から愛するような、朴直《ぼくちょく》な人々にしばしばある。彼らの虚弱な頭にとっては、新しい生命はあ....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
ゃまあ、お気の毒なこんで……さぞ親御様も、お嘆きでござらっしゃりましょう」 と朴直そうな六十|爺は、湖岸から半道あまりを駈けつけて来た禿げ頭の汗を押し拭いつつ....