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朴訥
「朴訥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朴訥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
、件《くだん》の評判の高かった頃、医者の内《うち》へ来た病人、その頃はまだ子供、
朴訥《ぼくとつ》な父親が附添《つきそ》い、髪の長い、兄貴がおぶって山から出て来た....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
に隠れたきり、顔もみせないのです。 やがてまもなく、ばあやに伴われてきたのは、
朴訥《ぼくとつ》らしい寺男でした。見るなり、幸吉のことばは火のつくようでした。 ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
の気に触れた心持がしてくる。それほど、その二人の男には密林の形容が具わってきて、
朴訥《ぼくとつ》な信心深い杣人《そまびと》のような偉観が、すでに動かしがたいもの....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
う。質素な服装《ふくそう》、日に焼けた顔、その熱狂ぶりも烈《はげ》しくて、彼等の
朴訥《ぼくとつ》な歓迎には、心打たれるものがありました。
ぼくは、愈々《いよい....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
使うたら、それッきりじゃが、土地は孫子の代にまで残るもんじゃせに。」 親爺は、
朴訥で、真面目だった。 「俺ら、田地を買うて呉れたって、いらん。」 「われ、いら....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
よりまだ/\苦し、ましてや准備おろかなる都の御客様なんぞ命|惜くば御逗留なされと
朴訥は仁に近き親切。なるほど話し聞てさえ恐ろしければ珠運別段急ぐ旅にもあらず。さ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
恐れ入ります。」 びっくりしたような顔をしてお礼をするのを見ても、このじいやの
朴訥なことが察せられます。わたくしは思わずそこにある枯枝のひと束に腰をおろして、....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
なさそうではあるが、誠実の点では退けを取るまい。孔子のいわゆる仁に近しと云うその
朴訥には遺憾がない。 「いかがでござるなご容態は?」 世間並の医者らしく長庵こ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
、自分も炉のはたに坐って、茶をいれ出した。 「ふとんより温かいです。」 大沢が
朴訥に答えた。 「ほう。そんなもんかの。で、飯はどうした、まだたべんじゃろ。」 ....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
の侮辱のようにも聞かれて、年の若い茂左衛門は少しく不快を感じたが、偽り飾りのない
朴訥の老婆に対して、彼は深くそれを咎める気にもなれなかった。それにつけても市五郎....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
、 「――執行猶予でした。山上さん(演劇集団の座長)が証人になってくれてね、例の
朴訥な調子で、私は思想のことは何にも判らないが、田村君は日本の演劇のために貴重な....
「木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
語り出したのが、即ち次の物語だ。因に記す、右の猟師は年のころ五十前後で、いかにも
朴訥で律儀らしく、決して嘘などを吐くような男でない。 昔からのお噺をすれば種々....
「生不動」より 著者:橘外男
悪しだというふうなことを、まだ震えの止まらぬらしいこの女中は、幾分腹立たしそうに
朴訥な言葉で話してくれた。すんでのところ火事になりかかったのをその方だけは隣りの....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
まった部屋に通されて、やっと食事も済ませて人心地ついたからだを伸ばしている時に、
朴訥そうな四十五、六の亭主が、 「お客様、さきほどはまことにご丁寧さまに」 と....
「妻」より 著者:神西清
とに非常な興味を持っているとでも思っているらしい。 「二晩寝なかったです」と彼は
朴訥な眼つきで私を眺め、櫛の手を休めずに言った、「一晩は産婦のおもりでね、もう一....