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朽ち
「朽ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朽ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の目をひいたのは、その小屋の前に、腕を組んでたたずんだ、十七八の若侍で、これは、
朽ち葉色の水干に黒鞘《くろざや》の太刀《たち》を横たえたのが、どういうわけか、し....
「或る女」より 著者:有島武郎
重みを覚えていた。耳には子供のアクセントが焼き付いた。目には、曲がり角《かど》の
朽ちかかった黒板塀《くろいたべい》を透《とお》して、木部から稟《う》けた笑窪《え....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
たなくなったのは前にも言ったとおりだ。こらえ性のない人々の寄り集まりなら、身代が
朽ち木のようにがっくりと折れ倒れるのはありがちと言わなければならない。ただ君の家....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
綿の花を咲かせているのではないか。 男は死ななかった。存命えて坊主になって老い
朽ちた。娘のために、姉上はそれさえお引取りになった。けれども、その魂は、途中で牡....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
てた。 橋は、丸木を削って、三、四本並べたものにすぎぬ。合せ目も中透いて、板も
朽ちたり、人通りにはほろほろと崩れて落ちる。形ばかりの竹を縄搦げにした欄干もつい....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
の花の散るように、娘の身体は幻に消えても、その黒髪は、金輪、奈落、長く深く残って
朽ちぬ。百年、千歳、失せず、枯れず、次第に伸びて艶を増す。その髪千筋一筋ずつ、獣....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
て、茶は沸いていそうだけれど、葦簀張がぼんやりして、かかる天気に、何事ぞ、雨露に
朽ちたりな。 「可いじゃありませんか、先生、畚は僕が持っていますから、松なんぞ愚....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れと申すも皆神様の御加護、お蔭で他所の銀杏とは異なり、何年経てど枝も枯れず、幹も
朽ちず、日本国中で無類の神木として、今もこの通り栄えて居るような次第じゃ。』 『....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ぶるりと触るは、髪か、顔か。 花の吹雪に散るごとく、裾も袖も輪に廻って、夫人は
朽ち腐れた破屋の縁へ飛縋った。 「誰か、誰方か、誰方か。」 「うう、うう。」 ....
「墓」より 著者:秋田滋
体が、地下に埋められた棺の底で腐ってゆくことを考えたのであります。肉体はこうして
朽ち果ててしまう。しかして、その魂や思いはどこへ行ってしまうのでありましょうか。....
「初雪」より 著者:秋田滋
ようと自分が選んでおいたあの絹衣につつまれた白骨をとどめるのみで、あわれ果敢なく
朽ちはてているであろう。 彼女はもうこの世の人ではあるまい。世のなかの営みは、....
「寡婦」より 著者:秋田滋
は、踏む足のしたでカサとの音もたてず、降りつづく陰欝な霖雨にうたれて、轍のなかで
朽ちていた。 あらまし葉をふるいつくした森は、浴室のようにじめじめしていた。一....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
、教会へ行くには水車用水池の端を通るようになった。学校は使わなくなって、間もなく
朽ちおちてしまい、不幸な先生の幽霊が出るといわれたものである。農夫の子が、静かな....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
懸って未だ雫も留まらないで、引窓から朝霧の立ち籠む中に、しとしとと落ちて、一面に
朽ちた板敷を濡しているのは潮の名残。 可惜、鼓のしらべの緒にでも干す事か、縄を....
「活人形」より 著者:泉鏡花
来る月影に四辺を屹と見渡せば、長き廊下の両側に比々として部屋並べり。大方は雨漏に
朽ち腐れて、柱ばかり参差と立ち、畳は破れ天井裂け、戸障子も無き部屋どもの、昔はさ....