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朽木
「朽木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朽木の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
それは去年の春、彼のところへ弟子《でし》入りをしたいと言って手紙をよこした、相州
朽木上新田《そうしゅうくちきかみしんでん》とかの長島政兵衛《ながしままさべえ》と....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
と、偶然そこへ思兼尊が、これも独り分け入って来た。そうして隔意なく彼と一しょに、
朽木《くちき》の幹へ腰を下して、思いのほか打融《うちと》けた世間話などをし始めた....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
めげず懸命に槌を振っていた。その夜九つに近き頃、了海が力を籠めて振り下した槌が、
朽木を打つがごとくなんの手答えもなく力余って、槌を持った右の掌が岩に当ったので、....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
どは貫木《たるき》も板も、判らぬほどに煤けてしまっていて、どこをのぞいてみても、
朽木の匂いがぷんぷん香ってくるのだった。しかし、戸口を跨《また》いだとき、滝人は....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
二十六 「奴は勝ほこった体で、毛筋も動かぬその硝子面を、穴蔵の底に光る
朽木のように、仇艶を放って※しながら、 (な、けれども、殿、殿たちは上※を庇わし....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
みて雪の方がよいと思った。頂上を過ぎて一つ向いの三角点のところまで行ったが、櫓の
朽木が二、三本立っているだけで三角標石は見えなかった。この山へはから身で往復した....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
骨を折っている。棒のような身体が右に傾いて行くと思うと、しゃちほこばったまま右に
朽木の倒れるごとく倒れる。これは右に廻ろうとするためだそうだ。したがって左も同様....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
さい、女に限りいいつけられる雑用を美女の傍近くで三日間相勤めたんですからね。身は
朽木にあらずです。いや全く幾度か窒息しそうでしたよ。生きてここへ戻って来られたの....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
取って、一人、その月へ投げつけたものがありました。 もろいの、何の、ぼろぼろと
朽木のようにその満月が崩れると、葉末の露と一つになって、棟の勾配を辷り落ちて、消....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
燈を――燈を、と細い声して言うと、土からも湧けば、大木の幹にも伝わる、土蜘蛛だ、
朽木だ、山蛭だ、俺が実家は祭礼の蒼い万燈、紫色の揃いの提灯、さいかち茨の赤い山車....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
何を覗くか爪立つがごとくにして、しかも肩腰は造りつけたもののよう、動かざること如
朽木。 「若い衆の愚痴より年よりの愚痴じゃ、聞く人も煩さかろ、措かっしゃれ、ほほ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
をして笑ったものがある。エエ、と剣を取って飛ばすと、胸元へ刺さって、ばったり、と
朽木倒。 するする攀上って、長船のキラリとするのを死骸から抜取ると、垂々と湧く....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
歓喜天の御堂より先に、たとえば孤屋の縁外の欠けた手水鉢に、ぐったりと頤をつけて、
朽木の台にひざまずいて縋った、青ざめた幽霊を見た。 横ざまに、杖で、敲き払った....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
の方にほんの仕切りしただけの垣があり、枯れ秋草がしどろもどろに乱れている。小さい
朽木門を出た五六間先からは堅田の浦の浪打際になっている。引上げられた漁船の艫が遠....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
なは案内者を殺した。 大風は去った。案内者の死骸は鼻の穴も口も砂で一ぱい詰って
朽木のように半分地に埋って居た。 いのちを助かって隊商のみんなは今更砂漠の中で....