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「朽葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朽葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
は針を刺すように身にこたえた。彼は首をすくめ、懐《ふとこ》ろ手をしながら、落葉や朽葉とともにぬかるみになった粘土質の県道を、難渋《なんじゅう》し抜いて孵化場《ふ....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
どき立停まって「これどきなさい」と洋傘で弾ねている。大きな蟇《がま》が横腹の辺に朽葉を貼りつけて眼の先に蹲《うずくま》っている。私は脅えの中にも主人がこの旧峠道....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
て、彼もさすがに少しく躊躇した。しかしそのままに口を結んでは帰られないので、彼は朽葉《くちば》色の直衣の袖をかきあわせながら徐《しず》かに言い出した。 「その儀....
モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
ほど、ここに書いてある種の猩々でなければ、君の描いたような痕はつけられまい。この朽葉色の髪の毛の束も、キュヴィエの書いている獣のと同じ性質のものだ。しかし、僕に....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ンを殺ろう。と、身丈ほどもある気根寄生木の障壁、そのしたに溜っているどろりとした朽葉の水。それが、燈火へ飛びこむ蛾の運命となるのも知らず、ともかく、荷担ぎを待た....
」より 著者:梶井基次郎
……らすほどそのなかから赤や青や朽葉の色が湧いて来る。今にもその岸にある温泉や港町がメダイヨンのなかに彫り込まれ....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
は、まことに神々しい眺めである。 その神の森を遠く囲繞し、茅葺小屋や掘立小屋や朽葉色の天幕が、幾何学的の陣形を作り、所在に点々と立っているのは、これぞ水狐族と....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
ひろげし玉章を颯と繰落して、地摺に取る。 右に、湯尾峠の万年姥。針のごとき白髪、朽葉色の帷子、赤前垂。 左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄の紋付、文金の高髷に緋....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、目の下に声を懸けた、樵夫と覚しき一個の親仁。面長く髪の白きが、草色の針目衣に、朽葉色の裁着穿いて、草鞋を爪反りや、巌端にちょこなんと平胡坐かいてぞいたりける。....
おせん」より 著者:邦枝完二
世絵師鈴木晴信が錦絵をそのままの美しさ。次第に冴える三日月の光りに、あたりは漸く朽葉色の闇を誘って、草に鳴く虫の音のみが繁かった。 「松つぁん」 「へえ」 「た....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
と万太郎山との南面の山襞には、四季雪の消え去ることがない。雪解水が、春から秋まで朽葉を濡らし、古苔を浸して渓に滴るので、赤谷川の水はいつでも手を切られるように冷....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
明の代りに振り照していた。その火に映った侍は三十五六の小肥りの男で、諸籠手の上に朽葉色の直垂を着て、兵庫鎖の太刀を長く横たえていた。 こっちで彼の顔を見さだめ....
清心庵」より 著者:泉鏡花
りたれば、茸の獲物さこそとて、朝霧の晴れもあえぬに、人影山に入乱れつ。いまはハヤ朽葉の下をもあさりたらむ。五七人、三五人、出盛りたるが断続して、群れては坂を帰り....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
いる深い笹原を、針蕗に刺されながら泳ぎ抜けて、昼も暗い白檜|唐檜の深林に入った。朽葉の積った柔い土の香と軽い樹肥の香とが苛立った神経を落付けて呉れる。緩やかなう....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
から川を離れなかった荷物の連中は下から見上げて笑っている。また河に下りた、そして朽葉の積った陰湿な崖腹に白根葵の大きな花を見出した時には、爪先に引懸った小枝と共....