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杣
「杣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
杣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
加茂川《かもがわ》の流れもないと云うた。おれがあの時吹き出さなかったのは、我立つ
杣《そま》の地主権現《じしゅごんげん》、日吉《ひよし》の御冥護《ごみょうご》に違....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
をした、姫は父を失い、母にはぐれ、山路に行き暮れて、悩んでいるのを、通りがかりの
杣人《そまびと》が案内を承ると佯《いつ》わり、姫を檜に縛《いま》しめ、路銀を奪っ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
天生《あもう》峠は蒼空《あおぞら》に雨が降るという、人の話にも神代《かみよ》から
杣《そま》が手を入れぬ森があると聞いたのに、今までは余り樹がなさ過ぎた。
今度....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
。それほど、その二人の男には密林の形容が具わってきて、朴訥《ぼくとつ》な信心深い
杣人《そまびと》のような偉観が、すでに動かしがたいものとなってしまった。 した....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
嬉しかった。彼は僧堂の生活に入って以来、両腕に漲ってくる力の過剰に苦しんでいた。
杣夫が伐ってあった生木を、彼は両手に抱えきれぬほどの束にした。二十貫に近い大束を....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
はいったい何んという所だ?」 「富士の裾野でございます」老人の答えは平凡である。
杣夫と見えて木を背負っている。 「富士の裾野は解っている。その他には名はないかな....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
と、現に敵が居りながら、女の細腕で討つことが出来ません、先方は浪人者で、私の父は
杣をいたして居りましたが、山界の争い事から其の浪人者が仲裁に入り、掛合に来ました....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
回った。十六歳から六十歳までの人別名前を認め、病人不具者はその旨を記入し、大工、
杣、木挽等の職業までも記入して至急福島へ差し出せと触れ回した。村々の鉄砲の数から....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
しないものはなかった。言って見れば、この地方の遠い古は山にたよって樵務を業とする
杣人、切り畑焼き畑を開いて稗蕎麦等の雑穀を植える山賤、あるいは馬を山林に放牧する....
「木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
て日の暮れかかるころに、もう五十近い大男がずっとはいって来ました。その男の商売は
杣で、五年ばかり木曽の方へ行っていたが、さびれた故郷でもやはり懐かしいとみえて、....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
と見えて水がどうどッと流れて、雑木山があって、向うに薪をこなして居るは此の山村の
杣と見えて、傍の方に山菅で作った腰簑に、谷地草で編んだ山岡頭巾を抛り出してあって....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
あった。 秩父|香具師の一団なのである。 平素は自分の家にいて、百姓もやれば
杣夫もやり、猟師もやれば川狩もやるが、どこかに大きな祭礼があって、市が立って盛ん....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
。しかもこの怪物は人間に対して危害を加えたという噂を聞かない。ただ時どきに山中の
杣小屋などへ姿をあらわして、弁当の食い残りなどを貰って行くのである。時には人家の....
「書記官」より 著者:川上眉山
蔓をからみつけたり。橋を渡れば山を切り開きて、わざとならず落しかけたる小滝あり。
杣の入るべき方とばかり、わずかに荊棘の露を払うて、ありのままにしつらいたる路を登....
「案内人風景」より 著者:黒部溯郎
日本アルプス探険時代ともいうべき頃の登山者たちは、概ね、猟師とか、岩魚釣りとか、
杣人の類か、または、かつて陸地測量部の人夫として働いた事があるというような人を、....