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「来客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

来客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
一段|下流の板敷へ下りると、お源と云う女中が、今しがたここから駈け出して、玄関の来客を取次いだ草履が一ツ。ぞんざいに黒い裏を見せて引くり返っているのを、白い指で....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
○俳優は常に手を内懐かポケットの中へ隠したがる。ある俳優のごときは娘の結婚式の来客を迎える紳士の役を、両手をズボンのかくしへ突込んだままで押し通したのを私は見....
去年」より 著者:伊藤左千夫
人が聞いたらばかばかしいきわみな話だろうが、現にある事実なのだ。しかも前夜僕は、来客との話の調子で大いに子ども自慢をしておったのだから滑稽じゃないか。 子を育....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ものをと、さながら遁出したあとの城を、乗取られたようなありさまで。――とにかく、来客――跣足のまま、素袷のくたびれた裾を悄々として、縁側へ――下まで蔓る南瓜の蔓....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
お貞はその良人ならざるに腹立ちけむ、面を赤め、瞳を据えて、屹とその面を瞻りたる、来客は帽を脱して、恭しく一礼し、左手に提げたる革鞄の中より、小き旗を取出して、臆....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いる、暑い真昼過ぎのことであったと申します――館の内部は降って湧いたような不時の来客に、午睡する人達もあわててとび起き、上を下への大騒ぎを演じたのも道理、その来....
故郷」より 著者:井上紅梅
連れて来て船の見張をさせた。その日は一日急がしく、もう彼と話をしている暇もない。来客もまた少からずあった。見送りに来た者、品物を持出しに来た者、見送りと持出しを....
わが妻の記」より 著者:伊丹万作
いくらいにものすごい。彼女の語彙の中には敬語というものがいたつて乏しい。しかし、来客に対しては何とかごまかして行くが、私と差し向かいになつたら全然もういけない。....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
常日記に載すべき事項のほかに、祭事、仏事、音物、到来品、買物、近親交友間の消息、来客の用談世間咄、出入商人職人等の近事、奉公人の移り換、給金の前渡しや貸越や、慶....
一寸怪」より 著者:泉鏡花
何か子供の悪戯だろうくらいにして、別に気にもかけなかったが、段々と悪戯が嵩じて、来客の下駄や傘がなくなる、主人が役所へ出懸けに机の上へ紙入を置いて、後向に洋服を....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ら案内なしの推参である上に、門でも裏でも取ってつけない挨拶をされた先刻の今なり、来客の目覚しさ、それにもこれにも、気臆れがして、思わず花壇の前に立留まると、頸か....
妖怪学」より 著者:井上円了
帰りくるを不吉とし、文面に返り点を付くるを避くるがためなり。その他、婚礼の式には来客に茶を出さざるは、人を茶にするということの連合よりきたり、客の帰り去るを御帰....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
デップリした下脹れの紳士で、一人はゲッソリ頬のこけた学生風であった。容子がドウモ来客らしくないので、もしやと思って、佇立って「森さんですか、」と声を掛けると、紳....
明治懐顧」より 著者:上村松園
を拝借して、それで描いて、みて頂くのです。そこでお手本ですが、松年先生は、夜など来客と話しながらよく絵を描いていられました。ひくい大きな机に唐紙の連落ちをひろげ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
、織物を持ち来たりて甲板上に陳列し、乗客に購買を勧む。各旅店より小汽船を出だして来客を迎え、あるいは小舟をこぎ来たりて上陸を勧むる等、非常の雑踏を極む。石炭積載....