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「杯洗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

杯洗の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ゃ、あっしも飲みますぜ」 たまっていた唾涎《すいえん》をのみ下すように、そこの杯洗でぐびぐびとあおってしまいました。まもなく、右門がまずそこに倒れ、そのそばを....
仇討三態」より 著者:菊池寛
杯も幾杯も盗み飲みをしたので、すでにとろりとした目付をしていたが、目の前にあった杯洗の水をこぼすと、元気よくこれを前に突き出した。 「親方、俺はそんなもんじゃま....
婦系図」より 著者:泉鏡花
うに立って、小刻に襖の際。 川千鳥がそこまで通って、チリチリ、と音が留まった。杯洗、鉢肴などを、ちょこちょこ運んで、小ぢんまりと綺麗に並べる中も、姉さんは、た....
」より 著者:徳田秋声
は、痩せた淋しい顔をして、なにかとこまこました話をしながら、鍋に脂肪を布いたり、杯洗でコップを手際よく滌いだりした。 「ここの子息さんはどうしたい。まだ入牢って....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
。入かわりて、膳部二調、おりく、おその二人にて運び、やがて引返す。 撫子、銚子、杯洗を盆にして出で、床なる白菊を偶と見て、空瓶の常夏に、膝をつき、ときの間にしぼ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
古猿になれ、此奴等……立たぬな、おのれ。」 と立身上りに、盞を取って投げると、杯洗の縁にカチリと砕けて、颯と欠らが四辺に散った。 色めき白ける燈に、一重瞼の....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
田に致させまして、吸物は湯山の初茸、後は玉子焼か何かで、一|銚子つけさせまして、杯洗の水を切るのが最初。 「姉さん、お前に一つ。」 などと申しまする時分には、....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
た胴を後まで廻る大前掛で押えたお久美さんが、肩までもまくり上げた丈夫らしい腕に一杯洗物を引っかけて手早く一つ一つ繩のより目に挾んでは止木を掛けて居る様子を思い浮....
空家」より 著者:宮崎湖処子
出で行き、近処に法事の案内をし、帰るさには膳椀《ぜんわん》を借り燗瓶《かんびん》杯洗を調《ととの》え、蓮根《れんこん》を掘り、薯蕷《やまのいも》を掘り、帰り来た....
雪柳」より 著者:泉鏡花
台の上に、水浅黄の褄を雪なす足袋に掛けて、片裾庭下駄を揚げた姿を見、且つ傘の雫の杯洗にこぼるる音を聞いた。熟と、ともに天井を仰いだ直槙は、その丸髷の白い顔に、鮮....
五重塔」より 著者:幸田露伴
出島もしおらしからず、甚句に鬨の声を湧かし、かっぽれに滑って転倒び、手品の太鼓を杯洗で鉄がたたけば、清吉はお房が傍に寝転んで銀釵にお前そのよに酢ばかり飲んでを稽....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
山のつもりで、一献飲りましょう」 と、杯を持って、舷から手をのばし、大川の水を杯洗にしてさっと雫を振って婆へ酌した。 「そうか。……それはそれは優しいお心がけ....