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杯盤狼藉
「杯盤狼藉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
杯盤狼藉の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「花火」より 著者:太宰治
っくりして行けよ。泊って行ってもいいぜ。淋しいんだ。」 勝治の部屋は、それこそ
杯盤狼藉《はいばんろうぜき》だった。隅に男がひとりいた。節子は立ちすくんだ。 「....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
子段のうしろが大広間で、すっかり戸障子が除《と》り放してある。 そこの座敷に。
杯盤狼藉《はいばんろうぜき》をきわめて噪《さわ》いでいた、風体人相の好くない浪人....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
色《がんしょく》をして、文三は縁側へ廻《めぐ》り出た。 奥坐舗を窺いて見ると、
杯盤狼藉《はいばんろうぜき》と取散らしてある中に、昇が背なかに円《まろ》く切抜い....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
い、一夕鼠を隠し持ち行きて食卓上に放つと、猫たちまち燭を投げ棄て、鼠を追い廻し、
杯盤狼藉《はいばんろうぜき》と来たので、教育の方は持って生まれた根性を制し得ぬと....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
なるから、事が面倒になりはしないかと思うんだが。 そうかと云って昨夜のような、
杯盤狼藉という場所も困るんだよ。 実は墓参詣の事だから、」 と云いかけて、だ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
と、あとには、立ち樹の枝に風がざわめき渡って、はなれに唄声《うたごえ》がわいた。
杯盤狼藉《はいばんろうぜき》酒池肉林《しゅちにくりん》――というほどの馳走でもな....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
しい微苦笑には、本来の素質に鍛錬を加えた、大いなる才人の強気しか見えない。更に又
杯盤狼藉の間に、従容迫らない態度などは何とはなしに心憎いものがある。いつも人生を....
「魔都」より 著者:久生十蘭
。見渡すところどのテーブルの上にも驚くばかりにシャンペン酒の瓶が林立し、いずれも
杯盤狼藉たる有様。のみならず不思議なことには、三十人にも余る男女の酒客は、ほとん....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
したので、トラは強引に座敷へ引きずり込んだ、そして、膳を踏みつけたから形のごとく
杯盤狼藉を作って、共倒れに仆れた。 「……あっ、頭巾を」 藤次は、あわてて自分....
「三国志」より 著者:吉川英治
汲みあう客たちの瑠璃杯に、薫々の夜虹は堂中の歓語笑声をつらぬいて、座上はようやく
杯盤狼藉となり、楽人楽器を擁してあらわれ、騒客杯を挙げて歌舞し、眼も綾に耳も聾せ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ぶれて、沼のように眠ってしまった。 右馬介の柳斎もまた、宴の端にいたが、そこの
杯盤狼藉のすきを窺い、宵にいちど、じぶんの下屋へ退がって、灯もない中で阿新丸とさ....