杯酒[語句情報] »
杯酒
「杯酒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
杯酒の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
けたように、色々にひっくりかえって、高い船腹をすれずれに落ちて行った。彼は身体一
杯酒臭かった。 赤い太鼓腹を巾広く浮かばしている汽船や、積荷最中らしく海の中か....
「足迹」より 著者:徳田秋声
あるいて、体に障らにゃいいが……。」 叔母は拍子ぬけがして、自分で猪口に二、三
杯酒を注いで飲んだ。叔母と叔父とは、年がそんなに違っていなかった。 お庄は叔父....
「伸子」より 著者:宮本百合子
だバラックが大通りの樹蔭に軒を並べていた。食物ばかり売る店が続いていた。「一寸一
杯酒肴アリ」立看板がある。汁粉雑煮、ワンタン屋、汚水を流す溝や不完全な炊事場から....
「衝突心理」より 著者:夢野久作
びに頭の毛がザワザワして仕様がなかったので一旦、材木を積んで深川へ帰ってから、一
杯酒を飲んで、モウ一度、往復するために、手拭で下顎を覆面して深夜の京浜国道を下っ....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
しょう」 庄「あゝ其方の二畳の部屋の方へ出して置いてくれ、穢らしいから……おい一
杯酒を飲もう」 と是から酒を飲んでぐうッと寝てしまった。翌日になって車夫が持っ....
「野道」より 著者:幸田露伴
で、少し佳い香がある。食べると甘い、忍冬花であった。これに機嫌を直して、楽しく一
杯酒を賞した。 氏はまた蒲公英少しと、蕗の晩れ出の芽とを採ってくれた。双方共に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
る、燗をしない酒に何の味がある、この色はどうだ、第一このギヤマンなんていうやつが
杯酒の趣に添わないやつだ――酒中の趣というものは、一陶の酒といって、すっきりした....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
皆黙り込んでしまった。私は松本の綺麗にかき上げられてる髪に眼をつけていたが、三四
杯酒を干してから、煙草に火をつけながら尋ねてみた。 「一体君、初めからどういう話....
「花ふぶき」より 著者:豊島与志雄
場所はきまっている。電燈だけが明るい、が、外の月夜よりは薄暗い感じだ。おれはも一
杯酒を飲み、同じコップで二杯水を飲んで、布団にもぐりこんだ。 その翌日が大変だ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
て話しかけて(話しかけないことも多いが) 「このオジサンに一杯」 といって、一
杯酒をとりよせて、まア飲みねえ、うけてくんな、と押しつける。 うけなければ、な....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ひき合わせだろうよ――おれも初手はそんな気はみじんも抱いていなかったのだ。一、二
杯酒をのんでいるうちになにかの話から、野郎はまさか、おれが辻風典馬の弟で、野洲川....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
でも屋台店の暖簾をかぶったことを、吹聴する者が少しずつできたが、つい近頃までは一
杯酒をぐいと引掛けるなどは、人柄を重んずる者には到底できぬことであった。酒屋でも....