東の対[語句情報] » 東の対

「東の対〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

東の対の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
曠野」より 著者:堀辰雄
まで残っていた幼い童もとうとう何処かに去ってしまった跡には、もう一方の崩れ残りの東の対の一角に、この頃田舎から上ってきた年老いた尼が一人、ほかに往くところもない....
源氏物語」より 著者:紫式部
れ絹はおろせばいいだけであったし、畳の座なども少し置き直すだけで済んだのである。東の対へ夜着類を取りにやって寝た。姫君は恐ろしがって、自分をどうするのだろうと思....
源氏物語」より 著者:紫式部
い父性愛の心を乱すもののあるのに気がついて退出してしまった。 源氏は二条の院の東の対《たい》に帰って、苦しい胸を休めてから後刻になって左大臣家へ行こうと思って....
源氏物語」より 著者:紫式部
るのであるが、そこの東の妻戸の口へ源氏はよりかかっていた。藤《ふじ》はこの縁側と東の対の間の庭に咲いているので、格子は皆上げ渡されていた。御簾《みす》ぎわには女....
源氏物語」より 著者:紫式部
《めんどう》な夫人が代わりに出現するのではないかと疑っていたのである。 源氏は東の対へ行って、中将という女房に足などを撫《な》でさせながら寝たのである。翌朝は....
源氏物語」より 著者:紫式部
人の物としてある財産の管理上の事務を取らせることに計らったのである。 これまで東の対の女房として源氏に直接使われていた中の、中務《なかつかさ》、中将などという....
源氏物語」より 著者:紫式部
わった、源氏の夫人の一人としての体面を損じないような住居《すまい》にしてあった。東の対には明石《あかし》の人を置こうと源氏はかねてから思っていた。北の対をばこと....
源氏物語」より 著者:紫式部
ない気になっていて、再び情火を胸に燃やしながら心をこめた手紙を続いて送っていた。東の対のほうに離れていて、前斎院の宣旨を源氏は呼び寄せて相談をしていた。 女房....
源氏物語」より 著者:紫式部
った。源氏は困ったように見えた。 「さあ帰りますよ」 源氏が御簾から出る時に、東の対のほうに上手な笛が十三|絃の琴に合わせて鳴っているのが聞こえた。それは始終....
源氏物語」より 著者:紫式部
である。そこを立ち廊の戸を通って中宮の町へ出て行く若い中将の朝の姿が美しかった。東の対の南側の縁に立って、中央の寝殿を見ると、格子が二間ほどだけ上げられて、まだ....
源氏物語」より 著者:紫式部
的な待遇を受けて良人の家にいる必要はない」 と御意見をお言いになった。御自邸の東の対を掃除させて、大将夫人の移って来る場所に決めておいでになるのであった。親の....
源氏物語」より 著者:紫式部
得したのか承和の帝の秘法といわれる二つの合わせ方で熱心に薫香を作っていた。夫人は東の対のうちの離れへ人を避ける設備をして、そこで八条の式部卿の宮の秘伝の法で香を....
源氏物語」より 著者:紫式部
久しい場面であった。遠い世の思い出が女の心によみがえらないことでもないのである。東の対であった。東南の端の座敷に院はおいでになって、隣室の尚侍のいる所との間の襖....
源氏物語」より 著者:紫式部
そばさないのを、あまりに少女らしいことであると言って女房たちは困っていた。大将は東の対の南のほうの座敷を仮に自身の使う座敷にこしらえて、もう邸の主人のようにして....
錦木」より 著者:宮本百合子
さい」 と云ったまんまその怒と、はずかしさと悲しさの三つの思の乱れにふるえながら東の対にかえってしまった。くらい灯のかげに坐った光君は、 「まるで獣のような女だ....