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杳
「杳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
杳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
読本が貴公のような軽薄児に読まれるのは、一生の恥辱だという文句を入れた。その後|
杳《よう》として消息を聞かないが、彼はまだ今まで、読本の稿を起しているだろうか。....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
住み慣れた三郎治の家を出奔《しゅっぽん》した。
それから三年の間、吉助の消息は
杳《よう》として誰も知るものがなかった。
が、その後《ご》彼は乞食《こじき》の....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
五畿内《ごきない》から東海道をほとんど隈《くま》なく遍歴した。が、兵衛の消息は、
杳《よう》として再び聞えなかった。
寛文《かんぶん》九年の秋、一行は落ちかかる....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
て、ついに踪跡《そうせき》がわからなくなってしまった。爾来、今日まで彼の消息は、
杳《よう》としてわからない。
「さまよえる猶太人」とは如何なるものか、彼は過去に....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
あり、そして驚異の性能を持った新鋭砕氷船であり、その行動も事件発生の三週間前から
杳《よう》として謎に包まれているのにも拘《かかわ》らず、ソ連側からは一向何らの弁....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、彼の姿がふいに、消えてしまったのだ。それ以来、一年にもなるが依然三上の行方は、
杳として謎のように分らない、という、ロイスの話を一通り聴きおわると、折竹がやさし....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ア艦隊と一戦|交えたまでは判っていたが、其後はどこに何をしているのやら、国民には
杳として消息の判らない聯合艦隊だった。 それも道理、アジア艦隊との一戦に、残念....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
円貰ったという記事も出なかったからである。あの事件の報道は、あれっきりのことで、
杳として後日物語がうち断たれてある有様だった。 五年あまり後の今日―― ここ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
徘徊している筈の覆面探偵の仕業か。――一方、矢走千鳥は天に駆けたか地に潜ったか、
杳として消息が入らなかった。 だが、矢走千鳥は無事に生きていた。彼女は多摩川を....
「蠅男」より 著者:海野十三
ろう。彼女は果して安全に身を護っているのだろうか。池谷邸に入ったまま、姿を消して
杳として行方が知れなくなったこの麗人の身の上を、帆村はすくなからず憂慮しているの....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
する、悪人一味はすべて滅んだ。唯一人、ヘリコプターに乗った波立二のみは、その後、
杳として消息がわからなかったが、首領を失ったかれに何ができよう。その後、紀伊半島....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
君も知ってる、生命は、あの人も助かったんだが、その後影を隠してしまって、いまだに
杳として消息がない。 これが風説の心中|仕損。言訳をして、世間が信ずるくらいな....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ン教授が不審を述べているのだが、その|隠れ衣は一度|氷島で使われたきり、その後は
杳として姿を消してしまったのだ。支倉君、氷島なんだよ――しかもその時は、ブルンヒ....
「キド効果」より 著者:海野十三
聞やラジオは博士の失踪のことで持切りだった。 だがどうしたものか、博士の消息は
杳として聞えなかった。 そして或る日、警視庁の捜査課長が、博士の研究室に、留守....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
見える。霞たつ暖い日で、山は空と溶け合うて、ややともすればその輪廓を見失うほど、
杳かに、そして幽かなものであった。 二 甲州西山は、白峰の前岳で、....