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松の内
「松の内〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
松の内の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
んやりと角火鉢の前に坐ると、亭主は自分で土瓶《どびん》と茶碗とを運んで来た。 「
松の内もいいあんばいにお天気がつづきました」 彼は手ずから茶をついで出した。そ....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
いうとこイ行かす金あってもか」と言いに来たが、うんと言わなかった。 年が明け、
松の内も過ぎた。はっきり勘当だと分ってから、柳吉のしょげ方はすこぶる哀れなものだ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は一昨年の春からお津賀に関係して、毎年江戸へ出るたびに彼女のところへ訪ねて来て、
松の内に稼ぎためた金の大部分を絞り取られていた。今年も一年ぶりで訪ねて来ると、あ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。二枚半以上の大紙鳶は、職人か、もしくは大家の書生などが揚げることになっていた。
松の内は大供小供入り乱れて、到るところに糸を手繰る。またその間に娘子供は羽根を突....
「黒い頭」より 著者:海若藍平
夢中 やめずにとめずに九とう とうとう日が暮れ夜が明けて いつまで経っても
松の内 花子さんも羽子板の姉さんも夢中になって見ておりますと、王様の踊りはだん....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
の楼、それと向かい合った高楼はこの遊廓の支配役庄司甚右衛門の楼である。 遊里の
松の内と来たひにはその賑やかさ沙汰の限りである。その時分から千客万来、どの楼も大....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
足でいそいそと出掛けた。 それから病みつきで、なんということか、明けて元旦から
松の内の間一日も缺かさず、悲しいくらい入りびたりだった。身を切られる想いに後悔も....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
れ続けては、流石《さすが》に夜を日に換えて筆を執る根気も尽き果てたのであろう。「
松の内ア仕様がねえ」と、お菊にも因果を含めるより外に、何んとする術もなかった。 ....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
。六三郎の家は深川の寺町にありました。それからどっと床について、あけて十七の春、
松の内にとうとう死んでしまいました。その枕もとには毎晩蒼い顔をした女が坐っていた....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
場した。大劇場が元日早々から開場するというのは、大正以後のことで、大劇場は決して
松の内に開場するものではなかった。大劇場を見物するような客は、それぞれ新年の用事....
「年賀郵便」より 著者:岡本綺堂
のを怪まなくなった。それがまた、明治三十七、八年の日露戦争以来いよいよ激増して、
松の内の各郵便局は年賀郵便の整理に忙殺され、他の郵便事務は殆ど抛擲されてしまうよ....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
被った万歳が幾人も来ます。鉦や太皷を鳴らすばかりで何にも芸のない獅子舞も来ます。
松の内|早仕舞の銭湯におひねりを置いてゆく人も少いので、番台の三宝の上に紙包の雪....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
た。二枚半以上の大紙鳶は、職人かもしくは大家の書生などが揚げることになっていた。
松の内は大供小供入り乱れて、到るところに糸を手繰る。またその間に、娘子供は羽根を....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
一斤六圓也、綾の友一斤五圓五十銭也などと達者なお家流の字でかいてあります。正月の
松の内など、店も表戸をしめて休みますが、その頃は出入口の戸障子に、酒屋なら「酒」....
「越年」より 著者:岡本かの子
「わたし、正月早々からあんたを急き立てるのはどうかと思って差控えてたのよ。それに
松の内は銀座は早仕舞いで酒飲みなんかあまり出掛けないと思ったもんだから」 明子....