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「松林〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

松林の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
必ずしも偶然ではなかったのである。 葬列はとうとう寺の門へはいった。寺は後ろの松林の間に凪《な》いだ海を見下《みおろ》している。ふだんは定めし閑静であろう。が....
」より 著者:芥川竜之介
に違いない。現にその光を浴びた房子は、独り窓の側に佇《たたず》みながら、眼の下の松林を眺めている。 夫は今夜も帰って来ない。召使いたちはすでに寝静まった。窓の....
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
か》の形をしていたんだな。」 僕等はもうその時には別荘らしい篠垣《しのがき》や松林の間を歩いていた。木札はどうもO君の推測に近いものらしかった。僕は又何か日の....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
するとその言葉がまだ終らない内に、驟雨《しゅうう》の襲いかかるような音が、対岸の松林を震わせながら、その上に疎《まばら》な星を撒《ま》いた、山々の空へ上《のぼ》り出した。 (大正九年五月)....
手紙」より 著者:芥川竜之介
じめ、K君やS君も一しょに出るのです。そのまた散歩する場所もこの村の前後二三町の松林よりほかにはありません。これは毛虫の落ちるのを見た時よりもあるいは前の出来事....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
澄み渡った蜩《ひぐらし》の声も僕等の耳へ伝わって来た。それは少くとも三町は離れた松林に鳴いている蜩だった。 「おい、M!」 僕はいつかMより五六歩あとに歩いて....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
脱ぐ。風を懐《ふところ》へ入れ足を展《のば》して休む。青ぎった空に翠《みどり》の松林、百舌《もず》もどこかで鳴いている。声の響くほど山は静かなのだ。天と地との間....
春昼」より 著者:泉鏡花
… 浜へ行く町から、横に折れて、背戸口を流れる小川の方へ引廻した蘆垣の蔭から、松林の幹と幹とのなかへ、襟から肩のあたり、くっきりとした耳許が際立って、帯も裾も....
春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
勢七人となった。荷物は大部分人夫に背負って貰って、今はわずか二貫余平均となった。松林をぬけると本沢、二ノ沢、一ノ沢を集めた大きな谷をへだてて、鍋冠山が雪をかぶっ....
古狢」より 著者:泉鏡花
待っていた。冥途の首途を導くようじゃありませんか、五月闇に、その白提灯を、ぼっと松林の中に、という。……成程、もの寂しさは、もの寂しい…… 話はちょっと前後し....
南地心中」より 著者:泉鏡花
に帰って、緋や、萌黄や、金銀の縫箔光を放って、板戸も松の絵の影に、雲白く梢を繞る松林に日の射す中に、一列に並居る時、巫子するすると立出でて、美女の面一人ごとに、....
歯車」より 著者:芥川竜之介
両側に立っているのは大抵大きいビルディングだった。僕はそこを歩いているうちにふと松林を思い出した。のみならず僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
お悦はもう自分のを、自分で抜いて取って、私の下駄をポンと並べた。 それよりして松林のたらたら下りを一散に駆出した。 「御免なさい、先生。――八郎さんに逢うまで....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
。十時ボスコップ湾に入る。船客またみな上陸す。人家数戸あるのみ。その前後の丘陵は松林数町連なり、野草繁生し、夏花の愛すべきものありといえども、丘頂に至ればただ巌....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
、連峰の肩に鮮かに生い立った老松の影をなつかしいものの限りに見詰めさせたりする。松林へはいってゆく。そうすると今までもの静かであった四辺が俄に騒々しいような気が....