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「松葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

松葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
ている広告を一枚貰って行く。 50 縦に見た前の往来。松葉杖をついた癈兵《はいへい》が一人ゆっくりと向うへ歩いて行《ゆ》く。癈兵はいつ....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
たく土器《かわらけ》が、二つになってころがりながら、一面にあたりへ、燃え残った青松葉を、灰といっしょにふりまいている。その灰を頭から浴びて、ちぢれ髪の、色の悪い....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
えの家だった。殊に近頃は見越しの松に雪よけの縄がかかったり、玄関の前に敷いた枯れ松葉に藪柑子《やぶこうじ》の実が赤らんだり、一層風流に見えるのだった。のみならず....
手紙」より 著者:芥川竜之介
人は赤あかと額《ひたい》の禿《は》げ上った四十前後の男です。この男は確か左の腕に松葉の入れ墨をしているところを見ると、まだ狂人にならない前には何か意気な商売でも....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
さら》の大神が祭ってある、あの座敷の古柱へ、ぐるぐる巻に括《くく》りつけられて、松葉燻《まつばいぶ》しぐらいにはされ兼ねますまい。そう思うともう新蔵は、おちおち....
二つの道」より 著者:有島武郎
、凝然として行く手を見守っている。揺籃《ようらん》の前で道は二つに分かれ、それが松葉つなぎのように入れ違って、しまいに墓場で絶えている。 二 人の世のすべ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
五十二 田を行く時、白鷺が驚いて立った。村を出る時、小店の庭の松葉牡丹に、ちらちら一行の影がさした。聯る車は、薄日なれば母衣を払って、手に手に....
追憶」より 著者:芥川竜之介
小さい借家にいても、二、三坪の庭に植木屋を入れ、冬などは実を持った青木の下に枯れ松葉を敷かせたのを覚えている。 この「お師匠さん」は長命だった。なんでも晩年|....
海異記」より 著者:泉鏡花
、小児を抱いたり、頬摺したり、子守唄うとうたり、つづれさしたり、はりものしたり、松葉で乾物をあぶりもして、寂しく今日を送る習い。 浪の音には馴れた身も、鶏の音....
縁結び」より 著者:泉鏡花
中のように、つかつか出て、硝子窓の敷居に縋る。 謙造はひしと背後に附添い、 「松葉越に見えましょう。あの山は、それ茸狩だ、彼岸だ、二十六|夜待だ、月見だ、と云....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
でに、よくよく憔悴けて了いました。一と口に申したらその時分の私は、消えかかった青松葉の火が、プスプスと白い煙を立て燻っているような塩梅だったのでございます。 ....
赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
でした。 お寺の戸口のところに、めずらしいながいひげをはやした年よりの兵隊が、松葉杖にすがって立っていました。そのひげは白いというより赤いほうで、この老兵はほ....
旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
できないかわりに。」 墓地の門そとに、ひとり、年よりのこじきがいて、よぼよぼ、松葉づえにすがっていました。ヨハンネスは、もっていたシリング銀貨をやってしまいま....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
余りに憧るる煩悩は、かえって行澄ましたもののごとく、容も心も涼しそうで、紺絣さえ松葉の散った墨染の法衣に見える。 時に、吸ったのが悪いように、煙を手で払って、....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
。そうしたことが知れるとその騒々しさは忽ち静寂な趣に変ってゆく。仰いで大空を蔽う松葉を眺めると、その間に小さな豆のような小禽が囀りながら虫をあさっている。豆のよ....