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板の間
「板の間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
板の間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
の家《うち》では台所と云っても、障子|一重《ひとえ》開けさえすれば、すぐにそこが
板の間《ま》だった。
「何? 婆や。」
「まあ御新《ごしん》さん。いらしって御覧....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
番だから、――」
賢造の言葉が終らない内に、洋一はもう茶の間《ま》から、台所の
板の間《ま》へ飛び出していた。台所には襷《たすき》がけの松が鰹節《かつおぶし》の....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
「頭身《とうしん》の毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木片を、床
板の間に挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親....
「或る女」より 著者:有島武郎
泥《どろ》になってしまった下駄《げた》を、足先で手伝いながら脱ぎ捨てて、ようやく
板の間《ま》に立ち上がってから、うつろな目で倉地の顔をじっと見入った。
「どうだ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
はまた笠井のてかてかした顔に唾をはきかけたい衝動にさいなまれたが、我慢してそれを
板の間にはき捨てた。
「そうまあ一概にはいうもんでないぞい」
「一概にいったが何....
「星座」より 著者:有島武郎
る男で支那人のような冷静で悧巧な顔つきをしていた。それが手ごろの風呂敷包を二枚の
板の間に挾んで、棒を通して挾み箱のように肩にかついでいた。そして右の手には鼠色に....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
は》がないから、 「だって、欲《ほし》いんだもの。」と言い棄てに、ちょこちょこと
板の間《ま》を伝って、だだッ広い、寒い台所へ行《ゆ》く、と向うの隅《すみ》に、霜....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ゃ、山の手から猪ぐらいに。所かわれば品かわるだ、なあ、め組。」 と下流へかけて
板の間へ、主税は腰を掛け込んで、 「ところで、ちと申かねるが、今の河野の一件だ。....
「春昼」より 著者:泉鏡花
戸へなりのたくり込めば、一も二もありゃしない。それまでというもんだけれど、何処か
板の間にとぐろでも巻いている処へ、うっかり出会したら難儀だろう。 どの道余計な....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
煙の、一方に雪崩れたらしい隈はあったが、黒しと怪む雲はなかった。ただ、町の静さ。
板の間の乾びた、人なき、広い湯殿のようで、暖い霞の輝いて淀んで、漾い且つ漲る中に....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
くも明けい、とおっしゃりますについて、あの、入口の、たいてい原ほどはござります、
板の間が、あなた様、道者衆で充満で、足踏も出来ません処から、框へかけさせ申して、....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
てゆくと海の面は火のように真赤になりました。 マルコはもはや力も抜けてしまって
板の間に身体をのばして死んでいるもののように見えました。大ぜいの人たちも、たいく....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
がわれ、他人の残りものを食べて露命をつなぎ、夜はまた夜で、寒さに悩みながら冷たい
板の間で旅寐の夢をむすぶ身となった。こうした苦労がつもり積って、夫婦はめっきり体....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
るというではないが、戸を開けるのも極めて内端じゃあったけれども、これがまた台所の
板の間に足を踏伸ばし、口を開けて眦を垂れていた、八ツさがりの飯炊の耳には恐しく響....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ええ、御免下さいまし、こちら様のお嬢様はお内ですかッていったがね。」 若い衆、
板の間に手をかけて、分別ありそうに、傾いた。白いのを着た姿は、前門の虎に対して、....