板庇[語句情報] » 板庇

「板庇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

板庇の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
がまた礫《つぶて》を投げるように、落として来て、太郎の鼻の先を一文字に、向こうの板庇《いたびさし》の下へはいる。 太郎は、歩きながら、思い出したように、はたは....
草枕」より 著者:夏目漱石
見ると青い煙りが、突き当って崩《くず》れながらに、微《かす》かな痕《あと》をまだ板庇《いたびさし》にからんでいる。 「ああ、好《い》い心持ちだ、御蔭《おかげ》で....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ったが、星があって涼しい。例の新築された会所のそばを通り過ぎようとすると、表には板庇があって、入り口の障子も明いている。寿平次は足をとめて、思わずハッとした。 ....
やもり物語」より 著者:寺田寅彦
、離れの十畳はしんとして鉄瓶のたぎる音のみ冴える。外には程近い山王台の森から軒の板庇を静かにそそぐ雨の音も佗しい。所在なさに縁側の障子に背をもたせて宿で借りた尺....
狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
クリして避けて通った。 博多の町の南の出外れ、万延寺の本堂と背中合わせの竹瓦に板庇、板敷土間に破れ畳二枚、ガタガタ雨戸の嵌め外しがやはり二枚という、乞食小舎の....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
えも、蕪村の場合には夢の追懐の中に融け合っているのである。 小鳥来る音うれしさよ板庇《いたびさし》 渡り鳥の帰って来る羽音《はおと》を、炉辺《ろへん》に聴《き....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
つきあめ》大井越えたるかしこさよ 夏川を越す嬉しさよ手に草履 小鳥来る音嬉しさよ板庇《いたびさし》 鋸《のこぎり》の音貧しさよ夜半の冬 のごときこれなり。普通....
黒田如水」より 著者:吉川英治
|碗供えてなぐさめてやろうと思う。お汝らもそれにいて相伴いたすがいい」 陣屋の板庇から白い月がさしている。秀吉はそういいながら湯鳴りする釜の前にしばし畏まって....