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「板廂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

板廂の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
うに腰を持ちあげた。問屋場からの出がけにも、彼は出入り口の障子の開いたところから板廂のかげを通して、心深げに旧暦四月の街道の空をながめた。そして栄吉の方を顧みて....
」より 著者:徳田秋声
麗な湯屋があったりした。廓の真中に植わった柳に芽が吹き出す雪解けの時分から、黝い板廂に霙などのびしょびしょ降る十一月のころまでを、お増はその家で過した。町に風評....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
関ヶ原まで伸《の》そうではございませんか、荒れてなかなかやさしきは、不破の関屋の板廂《いたびさし》――この通りいいお月夜でございますから、かえって、この良夜を寝....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
しているということはわかります。 かの如くして、美濃の国の関ヶ原の不破の関屋の板廂《いたびさし》の下に暫く身をとどめて、心を癒《いや》しておりましたが、その間....
南国太平記」より 著者:直木三十五
店が、邸の正面へ、夕方時から出て店を張っていた。車を中心に柱を立てて、土塀から、板廂《いたびさし》を広く突き出し、雨だけは凌《しの》げた。 (お嬢さんだ――次は....
狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
た門構えを入ると、本堂の阿弥陀様と背中合わせの板敷土間に破れ畳の二畳敷、竹瓦葺の板廂、ガタガタ雨戸に破れ障子の三方仕切は、さながらに村芝居の道具立をそのまま。軒....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
たいものだが」 石ころの多い坂道に沿い、行儀の悪い歯ならびのように、苔の生えた板廂が軒を並べていた。 くさい塩魚を焼くにおいがどこかでする。午ごろの陽ざしが....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
の連翹や山吹の花が、ゆさと大きく揺れたかと思うと、いつか墨をながしていた空から、板廂をかすめて、ポツリと雨が落ちて来た。 彼はふと、 「よい機――」 と、思....