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「板戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

板戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
行った。 翌日葉子はそれでも倉地より先に目をさまして手早く着がえをした。自分で板戸を繰りあけて見ると、縁先には、枯れた花壇の草や灌木《かんぼく》が風のために吹....
高野聖」より 著者:泉鏡花
かも何よ、それ畜生道《ちくしょうどう》の地獄の絵を、月夜に映したような怪しの姿が板戸一枚、魑魅魍魎《ちみもうりょう》というのであろうか、ざわざわと木の葉が戦《そ....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ひそ》めた。…… 八 台所と、この上框《あがりがまち》とを隔ての板戸《いたど》に、地方《いなか》の習慣《ならい》で、蘆《あし》の簾《すだれ》の掛....
婦系図」より 著者:泉鏡花
も釣ってありそうな、昔ながらの大玄関。 と見ると、正面に一段高い、式台、片隅の板戸を一枚開けて、後の縁から射す明りに、黒髪だけ際立ったが、向った土間の薄暗さ、....
朱日記」より 著者:泉鏡花
一 「小使、小ウ使。」 程もあらせず、……廊下を急いで、もっとも授業中の遠慮、静に教員控所の板戸の前へ敷居越に髯面……というが頤頬などに貯えたわけではない。不精で剃刀を当て....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ちっとも似てはおらんのです。屋根で鵝鳥が鳴く時は、波に攫われるのであろうと思い、板戸に馬の影がさせば、修羅道に堕ちるか、と驚きながらも、 (屋根で鵝鳥の鳴き叫ぶ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
件の大革鞄もその中の数の一つではあるが――一人、袴羽織で、山高を被ったのが仕切の板戸に突立っているのさえ出来ていた。 私とは、ちょうど正面、かの男と隣合った、....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
話に雀ほどの声も出せない。 で、もう一間と※すと、小庭の縁が折曲りに突当りが板戸になる。……そこが細目にあいた中に、月影かと見えたのは、廂に釣った箱燈寵の薄....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
が浮いていた。裡の薄暗いのは、上の大樹の茂りであろう。及腰ながら差覗くと、廻縁の板戸は、三方とも一二枚ずつ鎖してない。 手を扉にかけた。 裡の、その真上に、....
縁結び」より 著者:泉鏡花
用は、ちっともそこいらにはなかったので。 前へ入って、その休息所の真暗な中を、板戸|漏る明を見当に、がたびしと立働いて、町に向いた方の雨戸をあけた。 横手に....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
。 その方にも厠はあるが、運ぶのに、ちと遠い。 件の次の明室を越すと、取着が板戸になって、その台所を越した処に、松という仲働、お三と、もう一人女中が三人。 ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
垣を潜って外へ出ると、まだ閉切ってある、荒物屋の小店の、燻った、破目や節穴の多い板戸の前を抜けて、総井戸の釣瓶がしとしとと落つる短夜の雫もまだ切果てず、小家がち....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。家数四五軒、佗しい山間の村で、弁当を使った時、雨を凌いで、簀の子の縁に立掛けた板戸に、(この家の裏で鳴いたり時鳥。……)と旅人の楽書があるのを見て、つい矢立を....
三枚続」より 著者:泉鏡花
男が三人、はじめから気を呑まれてお夏は、 (はい、)といって、小戻をして、黒塀の板戸の角、鴨川勝手口とある処へ引返したが、何となくその首を垂れた。 されば誰|....
註文帳」より 著者:泉鏡花
雪の門 十四 宵に一旦ちらちらと降ったのは、垣の結目、板戸の端、廂、往来の人の頬、鬢の毛、帽子の鍔などに、さらさらと音ずれたが、やがて....