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板目
「板目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
板目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
《ささや》かなる小庭ありと覚《おぼ》しく、手水鉢《ちょうずばち》のほとりより竹の
板目《はめ》には蔦《つた》をからませ、高く釣りたる棚の上には植木鉢を置きたるに、....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
およ》しなさいよ。――これを借《か》して上げるから」 「なんだいこれは。へええ。
板目紙《いためがみ》の上へ千代紙を張り付けて。やっぱり御前がこしらえたのか。閑人....
「道標」より 著者:宮本百合子
て来た。今夜は祭日だからだろう。表戸はひろく開かれたままで、電燈が煌々と白い石の
板目に輝いている。伸子と素子とは人っ気のないホールを通りぬけて、エレヴェーターの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とを恐れるほどに、わからないのがこの刀でありました。 「区《まち》よりいったいに
板目肌《いためはだ》が現われているようでござるな」 平野老人がようやくこれだけ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ころですか、片切刃《かたきりば》で大切先《おおきっさき》、無反《むぞり》に近い大
板目《おおいため》で沸出来《にえでき》と来ていますね、誰が見ても、相州か、そうで....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の揺ぐ影は少しもありません。 かくて、例の白昼の炉辺へ来て見ても、天井の低い、
板目も古びた一室ではあるが、陰惨とか、瘴毒《しょうどく》とかいうような気分は無く....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《もったい》なき故、このまま拵えをつけた、この地鉄《じがね》の細かに冴《さ》えた
板目の波、肌の潤《うるお》い」 「どうぞ御免あそばしませ、わたくしどもにはわかり....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
戸でない。」 「へえ。」 「飲用水の印ではない、何じゃ、あれじゃ。その、色事の看
板目印というやつじゃ。まだ方々にあるわい。試みに四五軒見しょう、一所に来う、歩き....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
んと、部屋の暗さの中に、煌々たる光を放していることか! その刀身の姿は細く、肌は
板目で、女性を連想わせるほどに優美であり、錵多く、小乱れのだれ刃も見えていた。そ....
「壁」より 著者:中井正一
る。巌であれば巌の固さの中に美わしさを求めいずるもの、仏像の尊厳を守りたてまつる
板目であればその板の上に、襲いくる矢を防ぐ壁であればその壁の上に、豪奢をきそう富....
「触覚の世界」より 著者:高村光太郎
いないが、同時に、其は公孫樹の木材を斜に削った光沢があり、春の綿雲の、木曾の檜の
板目とはまるで違う。考えてみると、色彩が触覚なのは当りまえである。光波の震動が網....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
し》らえてあることを、考えたからであった。 果せるかな、両軒共に、己が見世の開
板目録を備えて、田舎への土産の客を待っていた。 家へ取って返す道々にも、馬琴は....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
》には聊《ささや》かなる小庭ありと覚しく、手水鉢《ちょうずばち》のほとりより竹の
板目《はめ》には蔦《つた》をからませ、高く釣りたる棚の上には植木鉢を置きたるに、....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
に燃え立ち、殊更《ことさら》に大学の艇庫《ていこ》の真白《まっしろ》なペンキ塗の
板目《はめ》に反映していたが、忽《たちま》ち燈《ともしび》の光の消えて行くように....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ラックばかりである。僕は円タクの窓越しに赤さびをふいたトタン屋根だのペンキ塗りの
板目だのを見ながら確か明治四十三年にあった大水のことを思い出した。今日の本所は火....