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板縁
「板縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
板縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
、縁側《えんがわ》から、藁草履《わらぞうり》を穿《は》いて出たが、屈《かが》んで
板縁《いたえん》の下を覗《のぞ》いて、引出したのは一足の古|下駄《げた》で、かち....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
後の都合がありますから、この屋造の様子を聞いて下さい。 で座敷々々には、ずらり
板縁が続いているのが薄明りで見えました。それは戸外からも見える……崖へ向けて、雨....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
かけてある長巻をとった。彼は物に憑かれたように哮り狂って、その長巻を掻い込んで、
板縁からひらりと飛び降りると、男は足をあげて篝火を蹴倒した。そうして、雨の中をい....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は心得て、藻を縁にのぼらせた。そうして藁の円座を敷かせようとしたが、藻は辞退して
板縁の上に行儀よくかしこまった。 「予は忠通じゃ。そちは前《さき》の蔵人坂部庄司....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
か」と、播磨は念を押した。 「はい」 二度目の返事が切れないうちに、お菊はもう
板縁の上に捻じ伏せられて、播磨の手はその襟髪を強く掴んでいた。 「おのれ、それ程....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
らされた盃盤を前に、裏座敷で酒を飲んでいる。
あけ放された障子の向こうは、広い
板縁になっていたが、その向こうは荒廃した庭であった。庭好きの嘉門ではあったけれど....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
みを書きしもあり、何よりかより面倒なる真柱から内法長押腰長押切目長押に半長押、縁
板縁かつら亀腹柱高欄|垂木桝肘木、貫やら角木の割合算法、墨縄の引きよう規尺の取り....
「地球図」より 著者:太宰治
ひるすぎ、白石はシロオテと会見した。場所は切支丹屋敷内であって、その法庭の南面に
板縁があり、その縁ちかくに奉行の人たちが着席し、それより少し奥の方に白石が坐った....
「春心」より 著者:田中貢太郎
の敷居を跨ぐと庖厨であった。そこは行詰に釜のかかった竃があり流槽があって、右側に
板縁つきの室があったが、その縁側は肆の者が朝夕腰をかけて食事をする処であった。 ....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
時に名古屋にいたころのかすかな思い出の中には、どこか勝手口のような所にあった高い
板縁へよじ上ろうよじ上ろうとしてあせったことが一つの重大な事項になっているのであ....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
いであったがしかしまた実になつかしい追憶を伴なったにおいである。 台所の土間の
板縁の下に大きな素焼きの土瓶《どびん》のようなものが置いてあった。ふたをあけて見....
「追憶の冬夜」より 著者:寺田寅彦
なくも明治文化の半分はこの照明の下に発達したものであろう。冬の夕まぐれの茶の間の
板縁で古新聞を引破ってのホヤ掃除をした経験をもたない現代青年が、明治文学に興味の....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
んことをいわるる惣七どのじゃな」
部屋のはなし声はつづいていた。龍造寺主計は、
板縁に釘《くぎ》づけになったように、脊骨をまっすぐにして聞き入っていた。
いっ....
「青年」より 著者:森鴎外
から二三人目に書いてあるので、すぐに見附かった。赤い襷を十文字に掛けて、上り口の
板縁に雑巾を掛けている十五六の女中が雑巾の手を留めて、「どなたの所へいらっしゃる....
「山の人生」より 著者:柳田国男
た。盥に水を入れて表の口に出し、新しい草履を揃えて置くと、いつのまにかその草履も
板縁も、濡れているなどと噂せられた。この家のは娘でなくて、近く迎えた嫁女であった....