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枋
「枋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枋の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
ゅっといってまた波の底に沈んで行く。そのたんびに蒼《あお》い波が遠くの向うで、蘇
枋《すおう》の色に沸《わ》き返る。すると船は凄《すさま》じい音を立ててその跡《あ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
向けに倒れていた。かれの半身はなま血に塗れて、そこらに散っている俳諧の巻までも蘇
枋染めにしているので、惣八は腰がぬけるほどに驚いた。かれは這うように表へ逃げ出し....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
場合を思いついたのに、少しも間違がないことが解るだろう。 支那の明代の末に、徐
枋という気品の高い画家があった。節義のために死んだ父の遺言を守って、一代に肩を比....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、屏風《びょうぶ》もなにも立て廻してはなく、八畳の間いっぱいに血汐《ちしお》。蘇
枋染《すおうぞめ》を絞《しぼ》って叩きつけたようなその真中に突伏《つっぷ》した年....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
に種々の綺麗な大きな凧を飾って売り出したものであった。昔は凧の絵の赤い色は皆な蘇
枋というもので描いたので、これはやはり日本橋の伊勢佐という生薬屋で専売していたの....
「源氏物語」より 著者:紫式部
には殿上役人が左右に思い思いの味方をしてすわっていた。左の紫檀《したん》の箱に蘇
枋《すおう》の木の飾り台、敷き物は紫地の唐錦《からにしき》、帛紗《ふくさ》は赤紫....
「五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
青葉の方が次第に威勢がよくなって来るとその隣の赤椿の朝々の落花の数が多くなり、蘇
枋の花房の枝の先に若葉がちょぼちょぼと散点して見え出す。すると霧島つつじが二、三....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
湧き出し、そこに小屋掛してあって、土地の人々が浴する。その河岸の広場が、台東から
枋寮へ至るバスの休憩所の一つとなっている。この広場に、少女が立っていた。竹の皮で....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
なテクニカルな伝授もの風の知識である。例えば『永代蔵』では前記の金餅糖の製法、蘇
枋染で本紅染を模する法、弱った鯛を活かす法などがあり、『織留』には懐炉灰の製法、....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
葉はありませんでした。古び赤茶け、ところどころ破れ、腸を出している畳の上には、蘇
枋の樽でも倒したかのように、血溜りが出来ておりました。おお血といえば行衣姿のお綱....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
たが、多くは花に包まれていた。白いのは木蓮か梨の花であろう。赤紫に見えるのは、蘇
枋の花に相違ない。 と、灌木の裾を巡って、孕鹿が現われた。どこから紛れ込んだ鹿....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
ろさまざまの彩雲《いろぐも》が、美しく頭上の空いっぱいに棚引き、今をさかりの花蘇
枋《はなすおう》や粉米桜《こごめざくら》や連翹《れんぎょう》や金雀枝《えにしだ》....
「偶言」より 著者:津田左右吉
だちて、いとしもとがちにさし出でたる、片つ方は青く、いま片枝は濃くつややかにて蘇
枋のやうに見えたる」というのは光線の効果が目にとまったものらしい。「心にくきもの....