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枕上
「枕上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枕上の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
くここへは置けない。奥へ床を移さねばならぬといって、奥の床の前へ席を替えさした。
枕上《まくらがみ》に経机《きょうづくえ》を据え、線香を立てた。奈々子は死に顔美し....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の奥にいるのだよ。父と母と叔父とがね」 土屋庄三郎昌春は、翌朝早く眼を醒ますと
枕上へ眼をやった。紅巾がちゃんと置いてある。 「うむ、夢ではなかったか」 呟き....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
白き面のいとど透きとおりて、ただ黒髪のみ昔ながらにつやつやと照れるを、長く組みて
枕上にたらしたり。枕もとには白衣の看護婦が氷に和せし赤酒を時々筆に含まして浪子の....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
と、目で笑った。
――ふうむ、もうかえっていやがるな。待っておいでよ。おめえの
枕上に、ついじきに立ってやるから、――
こうした家の、裏口を、あけ閉《た》てす....
「魚玄機」より 著者:森鴎外
がある。 贈隣女 羞日遮羅袖。 愁春懶起粧。 易求無価宝。 難得有心郎。
枕上潜垂涙。 花間暗断腸。 自能窺宋玉。 何必恨王昌。 采蘋は体が小く....
「路傍の草」より 著者:寺田寅彦
一 車上 「三上」という言葉がある。
枕上鞍上厠上合わせて三上の意だという。「いい考えを発酵させるに適した三つの環境」....
「B教授の死」より 著者:寺田寅彦
ベッドの上に掛け回したまっ白な寒冷紗の蚊帳の中にB教授の静かな寝顔が見えた。
枕上の小卓の上に大型の扁平なピストルが斜めに横たわり、そのわきの水飲みコップの、....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
事鶏のごとくなる故と白石先生の『東雅』に出づ。慶安元年板『千句独吟之俳諧』には「
枕上の時鶏に夢を醒《さま》されて」「南蛮人の月を見るさま」と時鶏の字を用い居る。....
「悲しめる心」より 著者:宮本百合子
(三) 糸蝋はみやびやかに打ち笑む。 古金襴の袋刀は黒髪の
枕上に小さく美くしい魂を守ってまたたく。 元禄踊りの絵屏風をさかしまに悲しく立....
「狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
っせん。そう思うております故、あれから毎晩、腰から下、血だらけになった娘のお熊が
枕上に立ってサメザメと泣きまする』とか何とか言うて高声を立てて泣き崩れたとか言う....
「大塚楠緒子」より 著者:長谷川時雨
悲しみはどれ程でありましたろう。御自分でも癒《なお》るとばかり信じていた死の床の
枕上には、紙の白いままのノートが幾冊か重ねられてあったという事でした。そういう悲....
「砧」より 著者:上村松園
国にあるその妻が寒暑につけても夫の身を案じつつ打った砧の音が遠く万里を隔てた夫の
枕上に響いたという故事を話して聞かす。 この話を聞いて妻はそれでは私も砧を打っ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
堂において礼拝式あり。左に船中所詠の五言絶句を掲ぐ。 大西洋漠漠、尽日只看、風濤
枕上聞。 (大西洋はひろびろとして、一日中ただ雲をみるのみ。夜に入ってほかに聞こ....
「犬」より 著者:正岡子規
日七夜、椽の下でお通夜して、今日満願というその夜に、小い阿弥陀《あみだ》様が犬の
枕上に立たれて、一念発起の功徳《くどく》に汝が願い叶《かな》え得さすべし、信心|....