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枕紙
「枕紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
枕紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
はした。けれどもどうしてこんないやな夢ばかり見るのだろうとおぬいは情けなかった。
枕紙に手をやってみるとはたしてしとどに濡れていた。夢の中で絶え入るように泣いてし....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
った。しかし勤めの身は悲しいもので、あすはどういう客に逢おうも知れないと、彼女は
枕紙《まくらがみ》を濡らして話した。 半九郎は暗い顔をして聴いていたが、やがて....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
ま》って了って、もう絶体絶命という時に御目が覚めて見れば――寝汗は御かきなさる、
枕紙は濡《ぬ》れる、御寝衣《おねまき》はまるで雫《びっしょり》になっておったとい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れて、少しうとうとするかと思うとすぐに眼がさめた。あいにくに蒸し暑い夜で、彼女の
枕紙はびっしょり濡れてしまった。あくる朝も頭が重くて胸がつかえて、あさ飯の膳にむ....
「黴」より 著者:徳田秋声
やろう。」 五十二 けれどそんなベッドの新しみは、長く続かなかった。
枕紙に染みついた女の髪の匂いの胸を塞らす時がじきに来た。笹村が渇えていた本を枕元....
「爛」より 著者:徳田秋声
が、眠られない頭脳を掻き※るように苛立たせて、腹立たしさと悲しさとに、びっしょり
枕紙を濡らしていたくらいであった。 しっとりとした雨のふるある晩に、病院か、さ....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
時も忘れた事はございません、実に悔しいと思いまして、夜も枕を付けると胸が塞がり、
枕紙の濡れない晩は一晩もございません、それで何うかお父さんの敵を打とうと思いまし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いと竜之助の魂に糸をつけて引いて行くようです。ややあって寝返りの音。 髪の毛が
枕紙《まくらがみ》に触《さわ》る。中指《なかざし》が落ちたような、畳に物の音、上....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
が、それが忘れたように一度も言わなくなり、気味が悪いだろうと思われるような汚れた
枕紙に頭をのせて平気でいるのです」 「ちょっとお訊ねしますが、それは、いったい、....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
寝過ごしたのが気恥ずかしくて、いそいで、起きようとすると、夢で泣いたものか、
枕紙がひんやり湿っている。きのうからのことが思い出されて、おびえたこころは泪《な....